豚ホルモンとは、豚の内臓と頭部から取れる食用部位のことです。食品成分表には「ぶた[副生物]」として12件が収載されていて、頭部だけが生と焼きの2件に分かれるため、部位の種類としては11種類になります。
この記事が扱うのは、その11種類を店頭のカタカナ表記から正しく言い当てる方法です。「シロ」は豚では大腸を指し、小腸は「ヒモ」です。「ガツ」は豚の胃と牛の第一胃の両方に使われます。これらは全部、成分表の備考欄に書かれた公的な別名から確かめられます。
豚ホルモンとは?豚の内臓と頭部から取れる11の部位
豚ホルモンは、豚の消化管や臓器など、精肉として流通する部分以外の可食部を指します。牛ホルモンと同じく「もつ」とも呼ばれます。
成分表の収載を数えると、豚の副生物は舌、心臓、肝臓、じん臓、胃、小腸、大腸、子宮、豚足、軟骨、頭部の11種類です。牛の副生物が舌、心臓、肝臓、じん臓、第一胃から第四胃、小腸、大腸、直腸、腱、子宮、尾、横隔膜の15種類あるのと比べると、公的に数値が整理されている範囲は豚のほうが狭くなっています。
牛には胃が4つあって別々に収載されているのに対し、豚の胃は1つの項目にまとまっています。豚は牛のような反芻動物ではなく、胃を1つしか持たないためです。焼肉店のホルモンメニューで牛の部位名が多くなりがちなのは、この違いが効いています。
呼び名と部位の対応は、成分表の備考欄で確かめられる
食品成分表には、各項目に「別名」を記した備考欄があります。店頭のカタカナ表記が体のどこを指すのかは、ここを見れば公的な裏付けつきで確かめられます。豚の副生物11種類を並べると次のようになります。
| 成分表の項目名 | 備考欄に書かれた別名 | 体のどこか |
|---|---|---|
| ぶた[副生物]胃 | がつ、ぶたみの | 胃 |
| ぶた[副生物]小腸 | ひも | 小腸 |
| ぶた[副生物]大腸 | しろ、しろころ | 大腸 |
| ぶた[副生物]子宮 | こぶくろ | 子宮 |
| ぶた[副生物]頭部 ジョウルミート | カシラニク、豚トロ | 頬から首 |
| ぶた[副生物]じん臓 | まめ | 腎臓 |
| ぶた[副生物]心臓 | はつ | 心臓 |
| ぶた[副生物]舌 | たん | 舌 |
| ぶた[副生物]肝臓 | レバー | 肝臓 |
| ぶた[副生物]軟骨 | ふえがらみ | 軟骨 |
| ぶた[副生物]豚足 | 記載なし | 足先 |
この表で読み取れることが2つあります。1つは、豚足だけ別名の記載がないこと。「トンソク」は品名がそのまま通称になっているため、別名を立てる必要がなかったと考えられます。
もう1つは、軟骨の別名が「ふえがらみ」であることです。店では単にナンコツと書かれることも多い部位ですが、成分表が別名として採用しているのは「ふえがらみ」の1語だけです。
「シロ」は豚では大腸、小腸は「ヒモ」
豚の腸で間違えやすいのが、シロとヒモの対応です。成分表の備考は、大腸に「しろ、しろころ」、小腸に「ひも」と書き分けています。白いのは小腸のほうだという印象で選ぶと、逆の部位が届きます。
牛のほうを見ると、小腸の別名は同じく「ひも」ですが、大腸の別名は「しまちょう、てっちゃん」で、シロは出てきません。つまりヒモは牛でも豚でも小腸を指す一方、シロは豚の大腸だけを指す呼び名です。牛のシマチョウにあたる部位を豚で買うなら、探す表記は「シロ」になります。
牛の大腸についてはシマチョウとはどこの部位か、小腸についてはマルチョウとはどこの部位かで扱っています。
「ガツ」は牛と豚のどちらにも使われる
成分表の備考を突き合わせると、ガツは2つの項目に現れます。豚の胃が「がつ、ぶたみの」、牛の第一胃が「みの、がつ」です。同じ1語が、牛では第一胃、豚では胃を指しています。
| 項目 | 備考欄の別名 | 読み取れること |
|---|---|---|
| ぶた[副生物]胃 | がつ、ぶたみの | 豚の胃は「ぶたみの」とも呼ばれる |
| うし[副生物]第一胃 | みの、がつ | 牛の第一胃は「がつ」とも呼ばれる |
やっかいなのは、豚の胃に「ぶたみの」という別名まで公式に付いていることです。ミノという語が牛の第一胃と豚の胃の両方に届いてしまうため、「ガツ」「ミノ」のどちらの表記でも動物を特定できません。店頭やメニューで見かけたら、牛か豚かを確かめてください。牛の第一胃についてはミノとはどこの部位かで扱っています。
成分表に載っていない豚ホルモンもある
店で売られていても成分表に項目がない部位があります。代表が豚の横隔膜、いわゆる豚ハラミです。「横隔膜」を含む収載は3件あり、3件とも牛でした。豚ハラミのカロリーがサイトによってばらつくのは、拠りどころになる公的な数値がないためです。詳しくは豚ハラミとはどこの部位かで扱っています。
逆に、名前から想像する場所と成分表の分類がずれる部位もあります。豚トロは名前に「トロ」と付きますが、成分表の分類は「頭部」で、ばらでも首でもありません。この点は豚トロとはどこの部位かにまとめています。豚タンと牛タンの違いは豚タンとは何かで扱っています。
豚と牛のホルモンは、数値をそのまま並べられない
成分表は、同じ部位でも動物によって収載している調理形が違います。豚の胃、小腸、大腸、豚足、軟骨は「ゆで」でしか載っておらず、牛の小腸、大腸、直腸は「生」でしか載っていません。ゆでると水分が抜けて100gあたりの値が濃くなるため、豚の小腸(ゆで)と牛の小腸(生)を並べても、部位の差なのか調理の差なのかを分けられません。
この非対称の意味と、比べるときの考え方はもつ煮込みの記事で詳しく扱っています。豚と牛を合わせた部位別のカロリー順位はホルモンの部位別カロリーに一覧があります。豚レバーと牛レバーで栄養の中身がどう入れ替わるかはレバーとはどこの部位かで扱っています。
豚ホルモンの下処理は「ゆで戻し」から考える
市販の豚ホルモンは、胃と腸についてはボイル済みで流通するのが基本です。成分表が豚の胃、小腸、大腸を「ゆで」でしか収載していないのは、その状態が食品として一般的だからです。買ってきたものが白くふっくらしていれば、すでにゆでてあります。
もつ全般に共通する下処理の手順はもつの下処理にまとめてあるため、ここでは豚に固有の点だけを挙げます。
- 外側の脂を先に見る。豚の小腸は外側に脂が付いた状態で売られることがあり、その脂が加熱で強く出ます。脂が苦手なら、ゆでる前に白い塊を包丁でこそげ落とします
- 下ゆでは煮立てすぎない。強く沸かすと縮んで硬くなります。沸いたら火を弱め、ゆで汁が濁ったら替えます
- 焼くときは中心部75度で1分間以上。厚生労働省が食肉の加熱条件として示している基準で、内臓も同じ扱いです。ボイル済みでも中まで火を通します
生では食べられません。豚の食肉と内臓は、2015年6月12日から食品衛生法の規格基準により生食用としての販売と提供が禁止されています。牛の肝臓は2012年7月から同じく禁止されています。経緯は生レバーが禁止になった理由で扱っています。
伊達のくらが扱っているのは牛ホルモンです
ここまで豚ホルモンを公的な資料から見てきましたが、伊達のくらが専門店として扱っているのは牛ホルモンで、豚ホルモンの取り扱いはありません。豚については公的に確かめられる範囲の紹介にとどめ、産地や下処理まで自分たちの目で見ている牛のほうをご案内します。
牛の大腸にあたるシマチョウは、一頭からわずかしか取れない部位です。厚みのある壁がそのまま食感になり、脂の甘みが出ます。
部位ごとに食べ比べたい場合は、シマチョウ、アカセンマイ、ミノ、豚トロ、豚ハラミの5種が入ったセットもあります。この中の豚トロと豚ハラミの2つは豚の部位です。この記事で扱った成分表の分類でいえば、豚トロが「頭部 ジョウルミート」、豚ハラミが収載のない横隔膜にあたります。
豚ホルモンについてよくある質問
- 豚ホルモンは何種類ありますか
- 食品成分表に収載されている豚の副生物は11種類です。舌、心臓、肝臓、じん臓、胃、小腸、大腸、子宮、豚足、軟骨、頭部が該当します。収載は12件ありますが、頭部だけが生と焼きの2件に分かれているためです。
- 豚ホルモンの「シロ」はどこの部位ですか
- 大腸です。成分表の備考欄では、豚の大腸に「しろ、しろころ」、小腸に「ひも」と書き分けられています。白いから小腸だろうと考えると逆になります。
- ガツは牛と豚のどちらですか
- どちらにも使われます。成分表の備考欄では、豚の胃が「がつ、ぶたみの」、牛の第一胃が「みの、がつ」です。豚の胃には「ぶたみの」という別名まであるため、ガツともミノとも表記だけでは動物を特定できません。店に確かめてください。
- 豚ハラミは豚ホルモンに入りますか
- 店では豚ホルモンとして扱われますが、食品成分表に豚の横隔膜の収載はありません。「横隔膜」を含む収載は3件で、3件とも牛です。
- 豚ホルモンは生で食べられますか
- 食べられません。豚の食肉と内臓は2015年6月12日から、食品衛生法の規格基準により生食用としての販売と提供が禁止されています。加熱は中心部75度で1分間以上が目安です。
まとめ
豚ホルモンは、豚の内臓と頭部から取れる11種類の部位を指します。店頭のカタカナ表記が体のどこを指すかは、食品成分表の備考欄にある別名で確かめられます。シロは豚では大腸、ヒモは小腸です。ガツは豚の胃と牛の第一胃の両方に使われ、豚の胃には「ぶたみの」という別名もあるため、表記だけで動物は特定できません。
豚ハラミのように、店で売られていても成分表に項目がない部位もあります。豚と牛で収載されている調理形が違うため、数値をそのまま並べて比べることもできません。伊達のくらでは豚ホルモンは扱っておらず、牛ホルモンを専門に扱っています。
