レバーとは、肝臓のことです。牛・豚・鶏のどれであってもレバーが指す臓器は同じ肝臓で、体の中では横隔膜のすぐ下、腹部のやや右寄りにあります。
ただ、同じ「レバー」でも、牛か豚か鶏かで味も食感も栄養もかなり違います。この記事では、レバーがどこの部位で何の肉なのかというところから、3種類の違い、選び方、臭みを抜く下処理、生食が禁止されている理由、そしておいしく食べる方法までをまとめました。栄養の数値は文部科学省の食品成分データベース、生食の規制は厚生労働省の公表内容から引いています。
レバーとは?どこの部位かを一言で言うと「肝臓」
レバー(liver)は、食用にする動物の肝臓を指す言葉です。英語で肝臓を意味する liver がそのまま呼び名として定着したもので、牛・豚・鶏のいずれでも指している臓器は変わりません。焼肉やもつ煮で「レバー」と表示される食材は、法令上も内臓(副生物)として扱われます。
名前が似ていて混同されやすいのが「ハツ」と「マメ」ですが、ハツは心臓、マメは腎臓で、レバーとはまったく別の臓器です。
レバーはどこにある部位?
肝臓は、横隔膜のすぐ下、腹部のやや右寄りにある臓器です。体内では栄養の代謝や解毒、栄養素の貯蔵といった働きを担っています。栄養素を「貯蔵する」臓器であることが、レバーが鉄やビタミンを非常に多く含む理由です。レバーの栄養価が突出して高いのは偶然ではなく、この臓器の役割そのものに由来します。
また、肝臓は1頭(1羽)に1つしかありません。焼肉の赤身のように複数の部位へ切り分けられるものではないため、取れる量には限りがあります。
レバーは何の肉?牛・豚・鶏の3種類が主流
日本で食用として流通するレバーは、主に牛レバー・豚レバー・鶏レバーの3種類です。焼肉店で「レバー」と書かれていれば通常は牛レバー、焼き鳥店なら鶏レバー、スーパーの精肉コーナーで安価に並ぶものは豚レバーや鶏レバーであることが多い、という使い分けになります。
このほか馬レバーも流通しますが、扱う店舗は限られます。どの動物のものかで味・食感・栄養は大きく変わるので、その違いは次の章から数値を挙げて比較していきます。
レバーは「ホルモン」「もつ」に含まれるのか
レバーはホルモン(もつ)に含まれます。ホルモン・もつはいずれも内臓全般を指す言葉で、レバーはその中の1部位という位置づけです。焼肉店のホルモンの盛り合わせにレバーが入っているのは、このためです。
ただし、ホルモンと言われて多くの人が思い浮かべるのは、シマチョウやマルチョウといった腸の部位でしょう。レバーは腸とは食感も調理法もまったく異なります。ホルモンともつの言葉の違い、腸の部位の見分け方については、それぞれ以下の記事で詳しく解説しています。
牛・豚・鶏レバーの違いを一覧で比較
大まかに言えば、クセの少なさなら牛、鉄の多さなら豚、食感のなめらかさなら鶏です。牛レバーは加熱後もほろりとほどけて臭みが出にくく、豚レバーは3種の中で鉄と亜鉛が最も多く、鶏レバーは繊維が細かいためペースト状にも加工しやすい、という違いがあります。
もっとも、どれも鮮度と下処理の質しだいで印象が大きく変わるので、種類だけで優劣が決まるわけではありません。
| 比較項目 | 牛レバー | 豚レバー | 鶏レバー |
|---|---|---|---|
| 色 | 濃い赤褐色 | やや明るい赤褐色 | 淡い赤〜ピンク寄り |
| 食感 | ほろりとほどける | やや締まって歯応えあり | 繊維が細かくなめらか |
| 味の傾向 | 濃厚なうまみと甘み | 最もクセを感じやすい | コクがあり後味は軽い |
| 1個の大きさ | 大きい | 中くらい | 小さい |
| 代表的な料理 | 焼肉、レバニラ | レバニラ、揚げ物、もつ煮 | 焼き鳥、甘辛煮、ペースト |
| 入手しやすさ | 専門店・通販が中心 | スーパーで入手しやすい | スーパーで入手しやすい |
牛レバー:クセが少なく、焼いておいしい
牛レバーは濃厚なうまみと甘みがありながら、下処理さえきちんと行えば臭みが出にくい部位です。加熱するとほろりとほどける食感になり、焼肉のように「焼くだけ」で仕上げる調理と相性がよいのが特徴です。一方で流通量は多くなく、スーパーの精肉コーナーで日常的に見かけるものではありません。
豚レバー:鉄と亜鉛が最も多い
豚レバーは、3種の中で鉄と亜鉛の含有量が最も多く、価格も手頃です。その反面、独特の風味を感じやすいため、牛乳や塩水につけて臭みを抜く下処理が特に重要になります。レバニラや揚げ物のように、下味と香りの強い調味で仕上げる料理に向いています。
鶏レバー:繊維が細かく、なめらかに仕上がる
鶏レバーは繊維が細かく、火を入れるとねっとりとなめらかな口当たりになります。焼き鳥や甘辛煮、レバーペーストなど、食感のやわらかさを活かす料理に向きます。1個が小さいため火の通りが早く、加熱しすぎるとパサつきやすい点には注意が必要です。
栄養で比べる:牛・豚・鶏レバーの成分表
レバーは鉄・ビタミンA・ビタミンB12・葉酸のいずれも非常に多い食材ですが、その「多さ」の中身は種類によってまったく違います。鉄は豚が牛の3倍以上あり、ビタミンA(レチノール)にいたっては豚・鶏が牛の12〜13倍。数字で並べると差がはっきりします。
以下はすべて生の肝臓100gあたりの値です。加熱すると水分が抜けるため、実際に食べる重量あたりの数値は変わります。
| 成分(生100gあたり) | 牛レバー | 豚レバー | 鶏レバー |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 119 kcal | 114 kcal | 100 kcal |
| たんぱく質 | 19.6 g | 20.4 g | 18.9 g |
| 脂質 | 3.7 g | 3.4 g | 3.1 g |
| 鉄 | 4.0 mg | 13.0 mg | 9.0 mg |
| 亜鉛 | 3.8 mg | 6.9 mg | 3.3 mg |
| ビタミンA(レチノール) | 1,100 µg | 13,000 µg | 14,000 µg |
| ビタミンB12 | 53.0 µg | 25.0 µg | 44.0 µg |
| 葉酸 | 1,000 µg | 810 µg | 1,300 µg |
出典:文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)/うし・ぶた・にわとり[副生物・副品目]肝臓・生(2026年8月7日参照)
鉄:豚レバーが最も多く、牛レバーの3倍以上
鉄の量は豚13.0mg、鶏9.0mg、牛4.0mgの順です。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」における鉄の推奨量は、月経のある30〜49歳女性で1日10.5mg、30〜49歳男性で1日7.5mgとされています。豚レバー100gだけで月経のある女性の推奨量を超える計算になり、鉄を意識して食材を選ぶなら豚レバーが最も効率的です。牛レバー100gでも同推奨量の約38%を満たします。
ビタミンA:牛レバーは豚・鶏の約12分の1
ここが3種類で最も差が大きい項目です。レチノール(ビタミンA)は鶏14,000µg、豚13,000µgに対し、牛は1,100µgと、豚のおよそ12分の1、鶏のおよそ13分の1にとどまります。
ビタミンAは、不足しても困る一方でとりすぎにも上限が定められている栄養素です。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18〜64歳の男女いずれも耐容上限量は1日2,700µgRAEとされています。この数値と成分表を突き合わせると、次のようになります。
| 種類 | 100gあたりのレチノール | 耐容上限量に対する割合 | 上限に相当する量 |
|---|---|---|---|
| 牛レバー | 1,100 µg | 約41% | 約245g |
| 豚レバー | 13,000 µg | 約481% | 約21g |
| 鶏レバー | 14,000 µg | 約519% | 約19g |
耐容上限量(18〜64歳・2,700µgRAE/日)と成分表の数値から算出した目安です。他の食品からの摂取は含みません。
つまり豚・鶏レバーはひと口ふた口(20g前後)で1日の耐容上限量に達するのに対し、牛レバーは100g食べても上限の4割程度です。日常的に、あるいは家族で量を食べるレバー料理を考えるなら、この差は無視できません。「レバーは体にいいから毎日食べる」といった食べ方をするのであれば、種類の選択がそのまま安全マージンになります。
妊娠中・妊娠を計画している方への注意:ビタミンAの過剰摂取は、妊娠初期において特に注意が必要とされる栄養素です。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では妊婦の耐容上限量は示されていませんが、これは上限がないという意味ではなく、通常時の値を参考に過剰摂取を避けることが求められています。レバーを食べる量・頻度については、かかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。関連記事:妊娠中にホルモンは食べても大丈夫?
ビタミンB12と葉酸:いずれの種類でも突出して多い
ビタミンB12は牛53.0µg、鶏44.0µg、豚25.0µg、葉酸は鶏1,300µg、牛1,000µg、豚810µgです。ビタミンB12は牛レバーが、葉酸は鶏レバーが最も多いという結果になります。どちらも赤血球がつくられる過程に関わる栄養素で、鉄とあわせてレバーが「貧血対策の食材」と言われてきた理由がこの数値に表れています。
肉の種類ごとの栄養の違い全般については、牛肉・豚肉・鶏肉の違いを栄養面から比較した記事もあわせてご覧ください。
おいしいレバーの選び方
レバー選びは「色」「弾力」「ドリップ」の3点を見れば、ほぼ判断できます。鮮度が落ちると色がくすんで黒ずみ、押しても弾力が戻らなくなり、パックには血のような液体がたまってきます。ただし冷凍品は色や弾力では判断できないので、その場合は下処理の有無と凍結方法を確認してください。
- 色は濃く、つやがあるか。くすんだ色や黒ずみは鮮度が落ちたサインです
- 押したときに弾力が戻るか。ぶよぶよと形が戻らないものは避けます
- パックに血のような液体(ドリップ)がたまっていないか。多いほど風味が抜けています
- 表面の薄皮や血管が処理されているか。臭みの主な原因はここに残ります
- 冷凍品なら、凍結方法と下処理の有無が明記されているか。急速に凍結したものほど、解凍時の水分の流出が抑えられます
レバーの下処理:臭みを抜く3ステップ
レバーの臭みは、血の塊と薄皮を取り除き、水分を拭き取るだけで大きく減らせます。臭みの主な原因は内部に残った血液で、薄皮や血管は口当たりと風味の両方を損ないます。水分が残ったまま加熱すると生臭さが立ちやすいので、最後の拭き取りも省けません。なお、下処理済みとして販売されている商品なら、この工程はまるごと不要です。
- 切り分けて血の塊を取り除く:食べやすい大きさに切り、目に見える血の塊と血管、白い筋を包丁の先で取り除きます。
- つけて血を抜く:牛乳または塩水(水500mlに塩小さじ1程度)に15〜30分ほどつけ、途中で1〜2回入れ替えます。長くつけすぎるとうまみも抜けるため、時間を守ります。
- 水気をしっかり拭き取る:流水で軽くすすいだあと、キッチンペーパーで表面の水分を完全に拭き取ります。この工程を省くと臭みが残ります。
もつ全般の下処理の考え方は、もつ鍋のもつの下処理を解説した記事で部位ごとに詳しく扱っています。
レバーは生で食べられる?2012年7月から禁止されています
牛レバーも豚レバーも、生食用として販売・提供することは法律で禁止されています。牛については、肝臓の内部から腸管出血性大腸菌(O157など)が見つかったことを受け、2012年7月から食品衛生法の規格基準により生食用の販売・提供が禁止されました。豚については2015年6月12日から、食肉・内臓の生食用としての販売・提供が禁止されています。
ポイントは、表面を洗っても内部の菌は除去できず、どれだけ新鮮でも安全にはならないということです。なお馬のレバーは規制の対象外ですが、取り扱う店舗は限られます。
厚生労働省は、牛レバーを加熱して食べる場合の条件として「中心部の温度が63℃で30分間以上、もしくは75℃で1分間以上」を示しています。半生やレアの状態で食べることは避けてください。
生食が禁止された経緯、原因となった菌、加熱以外の安全な食べ方については、専用の記事で詳しく解説しています。
レバーのおいしい焼き方・食べ方
レバーは「強めの火で短時間・触りすぎない」が基本です。弱火で長く加熱すると水分が抜けてパサつき、頻繁に返すと表面が固まらないまま水分が流れ出てしまいます。そのうえで、前の章のとおり中心部まで確実に火を通すこと。厚みのある牛レバーなら、表面を焼き固めてから火を弱めて中心まで通すほうが失敗しません。
- 焼く:フライパンやグリルを十分に温めてから並べ、動かさずに焼き色をつけます。塩胡椒、にんにく醤油、ごま油と塩などシンプルな調味がよく合います
- 炒める:レバニラのように、下味をつけて片栗粉を薄くまぶしてから炒めると、水分が閉じ込められてやわらかく仕上がります
- 揚げる・煮る:唐揚げや甘辛煮は、クセを感じやすい豚・鶏レバーと特に相性がよい調理法です
ホルモン全般の焼き方のコツは、ホルモンのおいしい焼き方を解説した記事にまとめています。レバーを含む内臓の栄養面については健康・美容とホルモンの記事もあわせてどうぞ。
専門店が扱う「黒毛和牛レバー」という選択肢
レバーで失敗する原因のほとんどは、鮮度と下処理にあります。臭みの主因である血と薄皮が残っていること、凍結と解凍の過程で水分が流出して食感が損なわれること、そして家庭では下処理の手間そのものが調理を遠ざけてしまうこと。この3つは、下処理済みの商品を選べばまとめて解決できます。
伊達のくらの黒毛和牛レバーは、国内で飼育される黒毛和牛の肝臓を、次の状態でお届けしています。
| 原料 | 黒毛和牛のレバー(肝臓) |
|---|---|
| 下処理 | 臭みの原因となる血抜き・薄皮の処理を済ませた状態 |
| 味付け | なし(塩胡椒、にんにく醤油、味噌だれなど好みで調味) |
| 凍結 | 超高速凍結(一般的な冷凍のおよそ8分の1の速さで凍結) |
| 容量と価格 | 100g 1,180円/300g 3,540円/400g 4,720円/500g 5,900円 |
| 食べ方 | 加熱調理用。生食用ではありません |
牛レバーは前述のとおり、ビタミンAの量が豚・鶏のおよそ12分の1です。量を食べたい・家族で食べたいという食卓では、種類として牛レバーが選びやすくなります。100gは1人の晩酌やお試しに、300〜400gは家庭の夕食に、500gはまとめ買いや冷凍ストックに向く容量です。
レバーについてよくある質問
- レバーは何の部位ですか?
- レバーは肝臓です。牛・豚・鶏のいずれの場合も同じ臓器を指し、体内では横隔膜のすぐ下、腹部のやや右寄りに位置します。
- レバーは何の肉ですか?
- 日本で食用として流通するレバーは主に牛・豚・鶏の3種類です。焼肉店のレバーは通常は牛、焼き鳥店では鶏、スーパーで安価に並ぶものは豚か鶏であることが多くなります。
- レバーとハツは違うのですか?
- 違います。レバーは肝臓、ハツは心臓です。どちらも内臓(ホルモン・もつ)に含まれますが、別の臓器で食感も異なります。
- 牛・豚・鶏レバーで栄養に違いはありますか?
- あります。生100gあたりの鉄は豚13.0mg、鶏9.0mg、牛4.0mg。ビタミンA(レチノール)は鶏14,000µg、豚13,000µgに対し牛は1,100µgで、牛は豚のおよそ12分の1です(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)。
- レバーを毎日食べても大丈夫ですか?
- ビタミンAには耐容上限量があり、18〜64歳の男女で1日2,700µgRAEとされています(日本人の食事摂取基準2025年版)。豚・鶏レバーは20g前後でこの値に達する計算になるため、頻度と量には注意が必要です。牛レバーは100gで上限の約41%です。
- レバーは生で食べられますか?
- 食べられません。牛の肝臓は2012年7月から、豚の食肉・内臓は2015年6月12日から、食品衛生法の規格基準により生食用としての販売・提供が禁止されています。加熱する場合の目安は中心部が63℃で30分間以上、もしくは75℃で1分間以上です。
- レバーの臭みを取るにはどうすればよいですか?
- 血の塊と薄皮・血管を取り除き、牛乳または塩水に15〜30分つけてから、水気を完全に拭き取ります。下処理済みとして販売されている商品では、この工程は不要です。
- レバーは冷凍しても味は落ちませんか?
- 凍結の速度によって変わります。ゆっくり凍らせると細胞が壊れて解凍時に水分が流出し、食感とうまみが損なわれます。急速に凍結した商品を選び、解凍後は速やかに調理してください。
まとめ
レバーとは、牛・豚・鶏いずれの場合も「肝臓」という内臓の部位です。横隔膜のすぐ下、腹部のやや右寄りにあり、栄養を貯蔵する臓器であることが、鉄・ビタミンA・ビタミンB12・葉酸を非常に多く含む理由になっています。
3種類の違いを一言でまとめれば、鉄をとるなら豚、なめらかな食感なら鶏、量を食べるなら牛です。特にビタミンAの量は牛と豚・鶏で約12〜13倍の開きがあり、食べる頻度や量を考えるうえで実際に効いてくる差になります。
そして種類にかかわらず、レバーの生食は法律で禁止されています。中心部までしっかり加熱し、下処理を丁寧に行うこと。この2点さえ守れば、レバーは家庭の食卓で扱いやすく、栄養価の高い食材です。
参考にした資料
文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)/うし・ぶた・にわとり[副生物・副品目]肝臓・生
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(ビタミンAの耐容上限量、鉄の推奨量)
厚生労働省「牛レバーを生食するのは、やめましょう(「レバ刺し」等)」(生食用としての販売・提供の禁止、加熱条件)
厚生労働省「豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう」(2015年6月12日からの規制)
※本記事は食品の一般的な情報を提供するものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。健康状態や食事内容について不安がある場合は、医師・管理栄養士にご相談ください。
