「ホルモンはヘルシー」と言われる一方で、「脂が多くて太る」とも言われます。どちらも部分的には正しいのですが、ホルモンのカロリーは部位によって7.7倍もの差があり、ひとくくりにはできません。最も低いセンマイは100gあたり57kcal、最も高いテールは440kcalです。
ここでは牛13部位・豚6部位の合計19部位について、エネルギー・たんぱく質・脂質・コレステロール・鉄・ビタミンB12の数値を並べ、部位ごとの性格を整理しました。数値はすべて文部科学省の食品成分データベースから引いています。
ホルモンのカロリーは部位で7.7倍ちがう
まず全体像です。可食部100gあたりのエネルギーは、最小がセンマイ(牛の第三胃)の57kcal、最大がテール(牛の尾)の440kcal。その差は7.7倍あります。
同じ「ホルモン」という一語で呼ばれていても、中身はまったく別の食材です。脂質で見るとさらに開きが大きく、センマイ1.3gに対してテール47.1gで36.2倍。カロリーの差のほとんどは、この脂の量から来ています。
比較の物差しとして、牛ばら肉(乳用肥育牛肉・脂身つき・生)は100gあたり381kcalです。19部位のうち18部位は、この牛ばら肉より低いカロリーでした。牛ばらを上回るのはテール1つだけです。「ホルモンはヘルシー」という言い方には、この意味では根拠があります。
牛ホルモン13部位のカロリーと栄養
牛の副生物13部位です。ゆでの表示があるものは、成分表がゆでた状態で収載している部位を示します。
| 部位(呼び名) | 状態 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | コレステロール | 鉄 | ビタミンB12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第三胃(センマイ) | 生 | 57kcal | 11.7g | 1.3g | 120mg | 6.8mg | 4.6μg |
| 子宮(コブクロ) | ゆで | 95kcal | 18.4g | 3.0g | 150mg | 1.2mg | 1.7μg |
| 直腸(テッポウ) | 生 | 106kcal | 11.6g | 7.0g | 160mg | 0.6mg | 1.7μg |
| 肝臓(レバー) | 生 | 119kcal | 19.6g | 3.7g | 240mg | 4.0mg | 53.0μg |
| 心臓(ハツ) | 生 | 128kcal | 16.5g | 7.6g | 110mg | 3.3mg | 12.0μg |
| 大腸(シマチョウ) | 生 | 150kcal | 9.3g | 13.0g | 150mg | 0.8mg | 1.3μg |
| 第一胃(ミノ) | ゆで | 166kcal | 24.5g | 8.4g | 240mg | 0.7mg | 2.0μg |
| 第二胃(ハチノス) | ゆで | 186kcal | 12.4g | 15.7g | 130mg | 0.6mg | 2.0μg |
| 小腸(マルチョウ) | 生 | 268kcal | 9.9g | 26.1g | 210mg | 1.2mg | 21.0μg |
| 横隔膜(ハラミ) | 生 | 288kcal | 14.8g | 27.3g | 70mg | 3.2mg | 3.8μg |
| 第四胃(ギアラ) | ゆで | 308kcal | 11.1g | 30.0g | 190mg | 1.8mg | 3.6μg |
| 舌(タン) | 生 | 318kcal | 13.3g | 31.8g | 97mg | 2.0mg | 3.8μg |
| 尾(テール) | 生 | 440kcal | 11.6g | 47.1g | 76mg | 2.0mg | 1.8μg |
第四胃のギアラは「アカセンマイ」とも呼ばれますが、第三胃のセンマイ(57kcal)とは別の部位で、308kcalと5倍以上のカロリー差があります。名前が似ているため混同されやすい組み合わせです。
豚ホルモン6部位のカロリーと栄養
豚の副生物6部位です。腸と胃はいずれもゆでた状態で収載されています。
| 部位(呼び名) | 状態 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | コレステロール | 鉄 | ビタミンB12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 胃(ガツ) | ゆで | 111kcal | 17.4g | 5.1g | 250mg | 1.5mg | 0.9μg |
| 肝臓(豚レバー) | 生 | 114kcal | 20.4g | 3.4g | 250mg | 13.0mg | 25.0μg |
| 心臓(豚ハツ) | 生 | 118kcal | 16.2g | 7.0g | 110mg | 3.5mg | 2.5μg |
| 小腸(ヒモ) | ゆで | 159kcal | 14.0g | 11.9g | 240mg | 1.4mg | 0.4μg |
| 大腸(シロ) | ゆで | 166kcal | 11.7g | 13.8g | 210mg | 1.6mg | 1.0μg |
| 舌(豚タン) | 生 | 205kcal | 15.9g | 16.3g | 110mg | 2.3mg | 2.2μg |
豚のホルモンは牛に比べて幅が狭く、111kcalから205kcalの範囲に収まります。牛のように400kcalを超える部位はありません。豚タンについては豚タンとは何かを解説した記事で牛タンとの違いを扱っています。
カロリーが低い部位3つ
19部位のうち、100kcalを大きく下回るのは牛の内臓に集中しています。
1. センマイ(牛の第三胃)57kcal
全19部位で最も低い値です。脂質1.3gは牛ばら肉39.4gの30分の1にあたり、ほとんど脂を含みません。それでいて鉄が6.8mgと牛の部位では最も多く、牛ばら肉1.4mgの4.9倍です。シャキシャキした食感で、刺身や酢味噌和えで出されることが多い部位です。
2. コブクロ(牛の子宮)95kcal
脂質3.0gと少なく、一方でたんぱく質18.4gは牛ばら肉12.8gを上回ります。コリコリした歯ごたえが特徴で、塩で食べられることが多い部位です。
3. テッポウ(牛の直腸)106kcal
同じ腸でも、小腸(マルチョウ)268kcalに対して直腸は106kcalと4割以下です。開いた形が鉄砲に似ていることが名前の由来です。
カロリーが高い部位3つ
反対に、脂の多い部位は牛ばら肉に近い水準まで上がります。
1. テール(牛の尾)440kcal
19部位で唯一、牛ばら肉381kcalを上回ります。脂質47.1gは全部位で最大で、センマイの36.2倍です。ただしテールは煮込んでスープを取る使い方が中心で、脂の多くは煮汁に出ます。実際に口に入る量は、この数値そのままにはなりません。
2. 牛タン(牛の舌)318kcal
脂質31.8gと高い値です。牛タンのカロリーは部位の中でも上位で、「あっさりしている」という印象とは数値が食い違います。詳しくは牛タンのカロリーを解説した記事で扱っています。
3. ギアラ(牛の第四胃)308kcal
アカセンマイとも呼ばれる希少部位です。脂質30.0gと、胃の4部位の中では突出して高い値になります。名前が似たセンマイ(第三胃)が57kcalなので、選ぶときは第三胃か第四胃かを確認してください。
「ホルモンは低カロリー」は18部位まで正しい
ここまでの数値を、牛ばら肉381kcalという物差しで並べ直すと次のようになります。
| 牛ばら肉との比較 | 該当 |
|---|---|
| 牛ばら肉の半分未満(190kcal未満) | 13部位(センマイ・コブクロ・テッポウ・豚ガツ・豚レバー・豚ハツ・牛レバー・牛ハツ・シマチョウ・豚ヒモ・ミノ・豚シロ・ハチノス) |
| 半分から8割(190〜305kcal) | 3部位(豚タン・マルチョウ・ハラミ) |
| 8割以上(305kcal以上) | 3部位(ギアラ・牛タン・テール) |
つまり「ホルモンは低カロリー」という言い方は19部位中18部位まで正しく、テールだけが例外です。ただし焼肉で人気の高いマルチョウ268kcal・ギアラ308kcalは上位に入るため、注文の中身によって結果は変わります。
たんぱく質で見ると順位が入れ替わる
カロリーが低いことと、栄養が足りることは別です。100kcalあたり何グラムのたんぱく質を取れるかで並べると、順位が変わります。
| 部位 | 100kcalあたりのたんぱく質 |
|---|---|
| センマイ(牛第三胃) | 20.5g |
| コブクロ(牛子宮) | 19.4g |
| 豚レバー | 17.9g |
| 牛レバー | 16.5g |
| ガツ(豚胃) | 15.7g |
| ミノ(牛第一胃) | 14.8g |
| 牛ばら肉(参考) | 3.4g |
センマイは牛ばら肉の6.1倍のたんぱく質効率です。100gあたりのたんぱく質そのものではミノの24.5gが全部位で最大で、これは牛ばら肉12.8gの1.9倍にあたります。
逆に低いのはシマチョウ9.3gとマルチョウ9.9gで、腸の部位はたんぱく質が少なく脂が多い構成です。最大のミノと最小のシマチョウでは2.63倍の差があります。
鉄とビタミンB12は肝臓が突出する
ミネラルとビタミンで見ると、また別の部位が上位に来ます。
鉄は豚レバーの13.0mgが最大で、牛ばら肉1.4mgの9.3倍です。牛の部位ではセンマイの6.8mgが最も多く、脂が少ないうえに鉄が多いという構成になっています。
ビタミンB12は牛レバーの53.0μgが最大で、牛ばら肉1.9μgの28倍です。次いで豚レバー25.0μg、マルチョウ21.0μgと続きます。腸の部位の中ではマルチョウが際立って多く、シマチョウの1.3μgとは16倍の開きがあります。
コレステロールは19部位中17部位が肉より高い
カロリーとは逆の傾向が出るのがコレステロールです。牛ばら肉は100gあたり79mgですが、19部位のうち17部位がこれを上回ります。下回るのはテール76mgとハラミ70mgの2つだけです。
最も高いのは豚レバーと豚ガツの250mg、次いで牛レバーとミノの240mgです。カロリーが低い部位ほどコレステロールが低い、という関係にはなっていません。センマイは57kcalと最も低カロリーですが、コレステロールは120mgで牛ばら肉の1.5倍あります。
食事から取るコレステロールが血中の値にどう影響するかには個人差があります。脂質異常症などで医師や管理栄養士から食事の指導を受けている場合は、その指示に従ってください。
ホルモンを選ぶときの見方
ここまでの数値を、目的別に整理します。
- 量を食べたい——センマイ57kcal・コブクロ95kcal・テッポウ106kcalが軽い部位です。いずれも脂質が7.0g以下に収まります
- たんぱく質を取りたい——ミノ24.5g・豚レバー20.4g・牛レバー19.6g・コブクロ18.4gが上位です。牛ばら肉12.8gを上回るのは19部位中11部位あります
- 脂のうまみを楽しみたい——マルチョウ26.1g・ギアラ30.0g・テール47.1gが脂の多い部位です。もつ鍋のスープにコクが出るのはこの脂によるものです
部位ごとの呼び名や食感の違いは、マルチョウの記事とシマチョウの記事で扱っています。「ホルモン」と「もつ」という言葉の使い分けはこちらの記事をご覧ください。
伊達のくらの商品はどの部位か
数値を見たあとで実際に食べ比べるなら、部位が明記されている商品を選ぶのが確実です。伊達のくらの商品は、それぞれ次の部位を使っています。
| 商品 | 部位 | 100gあたり |
|---|---|---|
| ホルモン5種 食べ比べセット | シマチョウ/アカセンマイ(第四胃)/ミノ/豚トロ/豚ハラミ | 150kcal/308kcal/166kcal(牛3種) |
| 大トロホルモン焼き | シマチョウ(牛大腸) | 150kcal |
| 国産牛ホルモン小腸(もつ単品) | マルチョウ(牛小腸) | 268kcal |
数値はいずれも成分表の素材そのものの値で、味付けやタレの分は含みません。ホルモン5種セットは味付けなしの素材のままお届けするため、上の表の数値がそのまま当てはまります。
シマチョウ1部位を味わうなら大トロホルモン焼きがあります。100g680円(税込)から、塩・味噌・醤油・スタミナの4味です。もつ鍋に使うマルチョウは国産牛ホルモン小腸(もつ単品)で、300g2,480円(税込)です。
ホルモンのカロリーについてよくある質問
- ホルモンのカロリーはどのくらいですか?
- 部位によって大きく違います。可食部100gあたりで最も低いのはセンマイ(牛第三胃)の57kcal、最も高いのはテール(牛尾)の440kcalで、その差は7.7倍です(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)。
- ホルモンは本当に低カロリーですか?
- 牛ばら肉381kcalと比べると、19部位のうち18部位が下回ります。上回るのはテール440kcalだけです。ただし焼肉で人気の高いマルチョウ268kcal・ギアラ308kcalは上位に入ります。
- ホルモンで一番カロリーが低い部位はどれですか?
- センマイ(牛の第三胃)の57kcalです。脂質1.3gと牛ばら肉39.4gの30分の1で、それでいて鉄を6.8mg含みます。
- もつ鍋に使うホルモンのカロリーはどのくらいですか?
- もつ鍋に使われる牛の小腸(マルチョウ)は生100gあたり268kcal、脂質26.1gです。大腸(シマチョウ)を使う場合は150kcal、脂質13.0gで、ちょうど半分ほどになります。
- ホルモンのたんぱく質はどのくらいありますか?
- 最も多いのはミノ(牛第一胃)の24.5gで、牛ばら肉12.8gの1.9倍です。最も少ないのはシマチョウの9.3gで、2.63倍の開きがあります。
- ホルモンのコレステロールは高いですか?
- 19部位のうち17部位が牛ばら肉79mgを上回ります。最も高いのは豚レバーと豚ガツの250mgです。カロリーが低い部位ほどコレステロールが低いという関係にはなっていません。
- センマイとアカセンマイは同じものですか?
- 別の部位です。センマイは牛の第三胃で57kcal、アカセンマイ(ギアラ)は第四胃で308kcalと5倍以上の差があります。名前が似ているため混同されやすい組み合わせです。
- ホルモンで鉄やビタミンB12が多い部位はどれですか?
- 鉄は豚レバーが13.0mgで最も多く、牛ばら肉1.4mgの9.3倍にあたります。ビタミンB12では牛レバーが53.0μgで最多となり、こちらは牛ばら肉の28倍です。腸の部位ではマルチョウの21.0μgが際立って多くなっています。
まとめ
ホルモンのカロリーは部位で7.7倍ちがいます。センマイ57kcalからテール440kcalまで、同じ一語で呼ばれていても中身は別の食材です。差の大半は脂の量から来ており、脂質はセンマイ1.3gに対してテール47.1gと36.2倍の開きがあります。
牛ばら肉381kcalを物差しにすると、19部位のうち18部位がそれを下回ります。「ホルモンはヘルシー」という言い方には根拠がありますが、テールだけが例外です。
一方でコレステロールは逆で、19部位中17部位が牛ばら肉より高い値でした。カロリーが低いことと栄養面で軽いことは別だ、というのがこの表から読み取れる一番の要点です。部位を確かめて選ぶ——それだけで、ホルモンは目的に合わせて選べる食材になります。
参考にした資料
文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)/うし[副生物]舌・生、心臓・生、肝臓・生、第一胃・ゆで、第二胃・ゆで、第三胃・生、第四胃・ゆで、小腸・生、大腸・生、直腸・生、子宮・ゆで、尾・生、横隔膜・生/ぶた[副生物]舌・生、心臓・生、肝臓・生、胃・ゆで、小腸・ゆで、大腸・ゆで/うし[乳用肥育牛肉]ばら 脂身つき・生(2026年8月7日参照)
※100kcalあたりのたんぱく質、および倍率はいずれも上記の値から算出したものです。実際の調理では下ゆでや脂の流出により変動します。
※本記事は食品の一般的な情報を提供するものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。健康状態や食事内容について不安がある場合は、医師・管理栄養士にご相談ください。
