もつ煮込みの部位はどこ?小腸と大腸で脂質が2倍ちがう

もつ煮込みの「もつ」は、牛か豚の消化管です。店や家庭でよく使われるのは牛の小腸(マルチョウ)、牛の大腸(シマチョウ)、豚の小腸・大腸・胃(ガツ)の5つで、どれを選ぶかで仕上がりの脂の量が変わります。

ここでは部位の選び方、もつ鍋との違い、柔らかく煮る手順、1杯分の中身までをまとめました。数値は文部科学省の食品成分データベースから引いています。

もつ煮込みに使う「もつ」は牛か豚の消化管

もつは内臓全般を指す言葉ですが、もつ煮込みで使うのは消化管の部分にほぼ限られます。心臓や肝臓は煮込むと硬くなるため、煮込み料理には向きません。

もつとホルモンの呼び分けについてはホルモンともつは何が違うのかにまとめています。

牛のもつ(小腸・大腸)

牛の小腸はマルチョウ、大腸はシマチョウと呼ばれます。小腸は脂が厚く、煮込むとその脂が汁に溶け出してコクになります。大腸は壁が厚く、煮込んでも噛み応えが残ります。

部位の詳しい話はマルチョウとはシマチョウとはで解説しています。

豚のもつ(小腸・大腸・胃)

関東のもつ煮込みでは豚が主流です。豚の小腸はヒモ、大腸はシロやシロコロ、胃はガツと呼ばれます。牛より脂が軽く、味噌との相性がよいのが使われる理由です。

もつ煮込みに向かない部位

レバー(肝臓)、ハツ(心臓)、センマイ(第三胃)は煮込みに向きません。火が入りすぎるとぼそぼそになるか、逆に締まって硬くなるためです。これらは焼くか、さっと湯にくぐらせる調理が向いています。

小腸と大腸で脂質は2倍ちがう

同じ牛でも、部位によって中身は大きく違います。可食部100gあたりの数値です。

部位 収載形 エネルギー たんぱく質 脂質
牛 小腸(マルチョウ) 268kcal 9.9g 26.1g
牛 大腸(シマチョウ) 150kcal 9.3g 13.0g
牛 直腸(テッポウ) 106kcal 11.6g 7.0g
牛 第一胃(ミノ) ゆで 166kcal 24.5g 8.4g
牛 第二胃(ハチノス) ゆで 186kcal 12.4g 15.7g
牛 第三胃(センマイ) 57kcal 11.7g 1.3g
牛 第四胃(ギアラ) ゆで 308kcal 11.1g 30.0g
豚 小腸(ヒモ) ゆで 159kcal 14.0g 11.9g
豚 大腸(シロ) ゆで 166kcal 11.7g 13.8g
豚 胃(ガツ) ゆで 111kcal 17.4g 5.1g

牛の小腸と大腸では、脂質が26.1gと13.0gで2.01倍の差があります。エネルギーも268kcalと150kcalで1.79倍です。「もつ煮が脂っこい」と感じるかどうかは、どちらを使ったかでほぼ決まります。

牛の胃4つのなかでは、第四胃(ギアラ)30.0gと第三胃(センマイ)1.3gで23.1倍の開きがあります。同じ「もつ」でも中身は別物です。

部位ごとの数値をもっと広く見たい場合はホルモンのカロリーは部位で7.7倍ちがうで19部位を比較しています。

牛と豚のもつは、数値をそのまま比べられない

上の表に「収載形」という列を入れたのには理由があります。食品成分データベースは、牛の腸を生の状態で、豚の腸を下ゆでした状態で収載しています。

収載形 該当する部位
生だけ 牛の小腸・大腸・直腸、牛の第三胃
ゆでだけ 豚の小腸・大腸・胃、牛の第一胃・第二胃・第四胃

つまり、牛小腸268kcalと豚小腸159kcalを並べて「豚のほうが軽い」と言うことはできません。片方は生、片方は下ゆで後の値だからです。下ゆですると脂の一部が湯に落ちるため、生の値のほうが高く出ます。

比べられるのは、同じ収載形どうしだけです。生であれば牛の小腸26.1gと大腸13.0g、ゆでであれば豚の小腸11.9gと大腸13.8gと胃5.1gが、それぞれ横並びで見られます。

この収載形の違いは、もつの扱われ方そのものを表しています。豚のもつは下ゆでした状態が標準として登録されているということで、もつ煮込みで下ゆでが省けない理由もここにあります。

もつ煮ともつ鍋の違いは3つ

同じもつを使いますが、料理としては別物です。

項目 もつ煮込み もつ鍋
味付け 味噌または醤油の煮汁 醤油・塩・味噌などの鍋つゆ
加熱 長時間煮て味を含ませる 食卓で煮ながら食べる
主な具 大根・こんにゃく・ごぼう・にんじん キャベツ・ニラ・にんにく・唐辛子
もつの部位 牛または豚の小腸・大腸・胃 牛の小腸が中心
食べ方 器に取り分けた惣菜 鍋を囲んで取り分ける

もつ煮込みは作り置きができる惣菜、もつ鍋はその場で食べきる鍋料理という違いが最も大きいところです。もつ鍋の具材についてはもつ鍋の具材は定番5つと追加6つにまとめています。

柔らかいもつ煮の作り方は5工程

もつが硬くなる原因はほぼ2つで、下ゆでが足りないことと、味噌を早く入れすぎることです。

  1. もつを洗う:流水でもみ洗いします。少量の小麦粉や塩でもむと汚れが落ちやすくなります
  2. 下ゆでする:たっぷりの水から火にかけ、沸いたらゆでこぼします。これを2〜3回くり返すと臭みが抜けます。長ねぎの青い部分や生姜を一緒に入れると効果が上がります
  3. 本煮込みに入る:新しい水と、大根・こんにゃく・ごぼう・にんじんを加えて煮ます。ここは弱火でゆっくり。もつが柔らかくなるまで時間をかけます
  4. 味噌を入れる:もつが柔らかくなってから味噌を溶き入れます。先に味噌を入れると塩分でたんぱく質が締まり、もつが硬いまま仕上がります
  5. いったん冷ます:火を止めて冷める過程で味が入ります。翌日のほうがおいしいと言われるのはこのためです

下処理の具体的な手順はもつの下処理のコツや注意点で詳しく解説しています。下処理済みのもつを買う場合、工程1と2は不要です。

もつ煮1杯の中身を数字で見る

もつ100gに、大根80g・こんにゃく50g・ごぼう30g・味噌15gを合わせた1杯分で計算しました。

もつの部位 重量 エネルギー たんぱく質 脂質
豚 小腸(ゆで) 275g 218kcal 16.8g 12.9g
牛 大腸(生) 275g 209kcal 12.1g 14.0g
牛 小腸(生) 275g 327kcal 12.7g 27.1g
もつ以外だけ 175g 59kcal 2.8g 1.0g

もつ以外の具は175gで59kcalしかありません。1杯の中身はほぼもつで決まっているということです。牛の小腸を使うと327kcal、大腸なら209kcalで、1.56倍の差が出ます。

大根とこんにゃくを増やしても数字はほとんど動きません。量を増やしたいなら野菜とこんにゃく、味を濃くしたいならもつ、という調整のしかたになります。食物繊維は4.6gで、これも野菜とこんにゃく側から来ています。

伊達のくらのもつは下処理済みで届く

もつ煮込みでいちばん手間がかかるのは、洗いと下ゆでの工程です。伊達のくらの国産牛ホルモン小腸(もつ単品)は下処理を済ませた状態でお届けしているため、解凍してそのまま煮込みに使えます。

部位 国産牛の小腸(マルチョウ)
カット 一般的なカットより約1.5〜2倍の大粒
下処理 済み。解凍してすぐ調理できます
容量 1パック300g。1〜5パックから選択
保存 小分けの冷凍パック

脂を控えめにしたい場合は、大腸のほうが向きます。大トロホルモン焼きは国産牛のシマチョウ(大腸)を使っており、100gの個食パックで扱えます。味付け済みのため、煮込みに使う場合は味噌の量を控えてください。

もつ煮込みについてよくある質問

もつ煮込みに使うもつはどこの部位ですか?
牛か豚の消化管です。よく使われるのは牛の小腸(マルチョウ)、牛の大腸(シマチョウ)、豚の小腸・大腸・胃(ガツ)の5つです。レバーやハツは煮込むと硬くなるため向きません。
もつ煮は牛と豚のどちらがよいですか?
関東のもつ煮込みでは豚が主流で、脂が軽く味噌と合います。牛の小腸を使うと脂が汁に溶けてコクが強く出ます。なお成分表は牛の腸を生、豚の腸をゆでで収載しているため、数値を直接比べることはできません。
もつ煮のカロリーはどのくらいですか?
もつ100gに大根80g・こんにゃく50g・ごぼう30g・味噌15gを合わせた1杯で、牛の小腸なら327kcal、牛の大腸なら209kcal、豚の小腸なら218kcalです(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で計算)。
もつが硬くならない作り方はありますか?
下ゆでを2〜3回くり返してから弱火でゆっくり煮て、もつが柔らかくなってから味噌を入れてください。先に味噌を入れると塩分でたんぱく質が締まり、硬いまま仕上がります。
もつ煮ともつ鍋は何が違いますか?
もつ煮込みは味噌や醤油の煮汁で長時間煮る作り置きの惣菜、もつ鍋は鍋つゆで食卓で煮ながら食べる鍋料理です。具材も、もつ煮は大根・こんにゃく・ごぼう、もつ鍋はキャベツ・ニラが中心になります。
もつ煮の下処理は省けますか?
下処理済みとして売られているもつであれば、洗いと下ゆでの工程は不要です。未処理のもつを使う場合は、流水でもみ洗いしてから、水から沸かしてゆでこぼす工程を2〜3回くり返してください。
もつ煮の脂が気になるときはどうすればよいですか?
小腸ではなく大腸を選んでください。牛の場合、脂質は小腸26.1gに対して大腸13.0gで2.01倍の差があります。下ゆでを丁寧に行い、煮込み中に浮いた脂をすくうのも有効です。
もつ煮は翌日のほうがおいしいのはなぜですか?
火を止めて冷める過程で味が入るためです。煮ている間ではなく、温度が下がるときに具の内側へ味が移ります。作った日は仕上げまで、食べるのは翌日、という段取りが向いています。

まとめ

もつ煮込みに使うのは、牛か豚の消化管です。牛の小腸(マルチョウ)、牛の大腸(シマチョウ)、豚の小腸・大腸・胃(ガツ)の5つが定番で、レバーやハツは煮込みに向きません。

部位選びは仕上がりを決めます。牛の場合、小腸と大腸で脂質は26.1gと13.0g、2.01倍の差があります。脂を効かせたいなら小腸、あっさり仕上げたいなら大腸です。

柔らかく煮るコツは、下ゆでを2〜3回くり返すことと、もつが柔らかくなってから味噌を入れることの2点に尽きます。味噌を先に入れると塩分でたんぱく質が締まり、そのあと何時間煮ても柔らかくなりません。

参考にした資料
文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)/うし[副生物]小腸・生、大腸・生、直腸・生、第一胃・ゆで、第二胃・ゆで、第三胃・生、第四胃・ゆで、ぶた[副生物]小腸・ゆで、大腸・ゆで、胃・ゆで、だいこん 根 皮なし・生、こんにゃく 板こんにゃく 精粉こんにゃく、ごぼう 根・生、米みそ 淡色辛みそ(2026年8月8日参照)

※1杯分の合計値は、上記の可食部100gあたりの値に本文の分量を掛けて算出したものです。実際の調理では下ゆでや脂の流出により変動します。

※本記事は食品の一般的な情報を提供するものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。健康状態や食事内容について不安がある場合は、医師・管理栄養士にご相談ください。

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