ジュワっと染み出る脂のうまみ、プリっとした独特の食感が魅力のホルモンは、焼肉店でも人気のメニューです。
しかし、しっかり火が通っていない状態でホルモンを食べると食中毒の危険があり、反対に焼きすぎると硬くなってしまいます。
ホルモンは焼いていてもお肉のように分かりやすく色が変わるわけではないため、どのタイミングが食べ頃なのか、焼き方に悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、もうホルモンの食べ時に悩むことがないよう、ホルモンのおいしい焼き方について解説します。
また、ご自宅で手軽にホルモン焼きを楽しめるよう、フライパン調理のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ホルモンってどこのお肉?
ホルモンとは、どこの部位にあたるお肉になるのでしょうか。
実は、ホルモンと一口にいっても、ホルモンにはさまざまな種類があります。焼き方をご説明する前に、まずは、ホルモンの種類や特徴について見ていきましょう。
ホルモンについて
ホルモンとは、牛や豚、鶏の内臓を指す言葉です。ホルモンと似た言葉に「もつ」があり、もつも、ホルモンと同様、牛・豚・鶏の内臓を指します。
地域によっては、ホルモンは内臓の中でも牛や豚の腸だけを指し、もつは内臓全般を指す場合もありますが、内臓全般をホルモンと呼ぶケースも珍しくありません。
つまり、もつとホルモンは、厳密な使い分けがなされているわけではないのです。したがって、ホルモン焼きに牛や豚の腸だけでなく、ほかの部位の内臓が使われるケースもあります。
ホルモンの種類と特徴
ホルモンは、部位によってさまざまな種類があり、呼び方が変わります。
また、味わいや食感にも違いがあるため、ホルモンの種類と特徴を押さえておくと、焼肉店などで注文する際に便利です。
ホルモン焼きの定番の部位をご紹介しましょう。
・シマチョウ(テッチャン)
牛の大腸にあたるホルモンです。一般的にホルモン焼きという場合は、シマチョウを指すことが多くなっています。
しま模様が付いているためシマチョウと呼ばれますが、朝鮮語ではテッチャンと呼ばれることから、関西などではテッチャンと呼ばれるケースが多いようです。
シマチョウは、適度に脂がのっているため、プリプリな食感とかめばかむほど染み出てくる脂のうまみが特徴となっています。焼肉でも人気の高い部位です。
・マルチョウ
牛の小腸部分です。名前のとおりコロコロとした丸い形をしており、ホルモンならではの弾力あるかみ応えと脂のうまみを十分に楽しめる部位です。
大腸であるシマチョウに比べ、皮が薄く、脂がのっているため、よりジューシーで脂の甘みを堪能できる部位でもあります。
・レバー
肝臓にあたるレバーもホルモンの一つです。滑らかな口あたりと濃厚なうまみを味わえる部位ですが、少々癖があるため、好みが分かれる部位でしょう。
鉄や葉酸、ビタミンAなど豊富な栄養素が含まれていることでも知られる部位です。
ただし、焼きすぎるとパサついた食感になってしまうため、焼き加減には注意が必要になります。
・ミノ
牛には胃が4つあります。ミノは牛の第一胃にあたる部位です。
牛の胃の中ではもっとも大きな胃のため、肉厚でコリっとした食感を楽しめます。
ミノは臭みも少なく、あっさりとした味わいのため、食べやすいホルモンだといえるでしょう。
・ハチノス
牛の第二の胃です。名前のとおり、胃の内壁にあたる部分に多数のひだが寄っており、蜂の巣のような形状をしています。
焼肉のほか、煮込み料理などにも使われる部位で、コクやうまみは感じられるものの脂が少ないため、あっさりとした味わいが特徴です。
・センマイ
牛の第三胃です。何枚ものひだが重なっている見た目から、千枚(センマイ)と呼ばれるようになりました。
コリコリとした歯触りとざらっとした舌触り、さっぱりとした味わいが特徴です。
コラーゲンやミネラルを豊富に含む部位でもあります。
・ギアラ
牛の第四胃にあたる部位で、しっかりとしたかみ応えと脂の甘みが強く、ジューシーで濃厚な味わいを楽しめる部位です。
ギアラの表面は赤っぽい色をしているため、赤センマイと呼ばれることもあります。
・タン
牛の舌であるタンもホルモンに数えられる部位です。コリっとした歯ごたえが楽しめる薄切りタンは、焼肉の定番メニューでもあります。
牛の舌は長いため、部位によって食感や味わいが異なり、薄切りタンにはあっさりとしたタン中、仙台の牛タン焼きのような厚切りタンにはジューシーなタン元が使われることが多いです。
・ハラミ
一見、お肉のように見えるハラミは、横隔膜付近のホルモンです。
弾力があるもののかみ切りやすい柔らかい食感であり、ほどよく脂があり、うまみを十分に楽しめる部位のため、焼肉でも人気があります。
ホルモンの焼き方を知る前に、確認しておきたい注意点
ホルモンは内臓にあたる部位であり、ホルモンを食べる際には、注意しなければならない点があります。
ホルモンを安全に、かつおいしく食べるためのポイントを3つご紹介します。
ホルモンは必ずしっかり加熱する
ホルモンには、食中毒の原因となる腸管出血性大腸菌やカンピロバクター属菌、サルモネラ属菌などが付着している場合があります。
お肉の場合、これらの菌は表面に付着しているケースがほとんどですが、ホルモンの場合は表面だけでなく内部にも菌が存在している可能性があるのです。
現在、牛や豚のホルモンは生で食べることが禁止されています。
生で食べない場合であっても、中までしっかり火が通っていない場合、食中毒を招くおそれがあるため、ホルモンを食べる際には十分に加熱してから食べることが大切です。
トングは使い分ける
ホルモンを焼くときには、トングを使って焼きます。ホルモンは両面を焼く必要がありますが、ひっくり返すときも同じトングを使ってかまいません。
しかし、焼けたホルモンを取り出す際には、同じトングを使用すると、生のホルモンに付着していた菌が焼き上がったホルモンに付着するおそれがあります。
食中毒を防ぐためには、生のホルモンに使用するトングと加熱し終えたホルモンを取るときのトングを使い分けることが大切です。
1人で食べるような場合は、トングは生のホルモンに触れる際に使い、焼き上がってお皿に移すタイミングでは、お箸を使うようにしてもよいでしょう。
焼きすぎは硬くなる
ホルモンは、表面だけでなく、内側にも菌が付着している可能性があるため、中までしっかり火が通っていないと食中毒を招く可能性があります。
しかしながら、焼きすぎてしまうと、食感が硬くなってしまい、かみ切りにくく、脂も落ちすぎてしまうため、うまみを十分に感じられなくなってしまいます。
ホルモンをおいしく食べるためには、内部までしっかり火が通っているものの硬くなりすぎない、適度な焼き上がりの見極めが非常に重要なのです。
ホルモンの焼き方の基本
では、ホルモンをおいしく食べるために知っておきたい、ホルモンの焼き方の基本についてご説明しましょう。
表側(皮)から焼く
まず、シマチョウなどの皮が付いているホルモンは表側、つまり皮側から焼かなければなりません。なぜなら、加熱すると皮は縮んでくるからです。
また、脂は裏側に付いているため、先に裏から焼いてしまうとホルモンのうまみである脂が下に落ちてしまいます。
そのため、ホルモンを焼くときには必ず表側から焼くようにします。
皮にきつね色の焼き目が付き、脂身が半透明になるまで焼いたら裏返すことが、おいしい焼き上がりのポイントです。
表と裏の見分け方
シマチョウの場合、しま模様のようにひだが付いている側が皮であり、表になります。反対に、白っぽい色をしている脂身が付いている方が裏側です。
また、タンやハラミなどは、裏と表があるわけではないため、どちらから焼いても問題ありません。
火加減は中火
ホルモンを焼くときは、中火で焼きます。
焼肉として網で焼く場合には、網の中心部よりやや外側の場所で焼くとよいでしょう。火力が強すぎると、内側までしっかり火が通る前に表面が焦げてしまうおそれがあります。
中火で焼き加減を確認しながら焼き上げることが、ホルモンをおいしく食べるポイントです。
焼く時間の目安は?
ホルモンの焼き時間は、ホルモンの部位や厚みによって目安が異なります。そのため、時間よりも色の変化や焦げ具合、収縮の度合いなど、ホルモンの状態を確認しながら焼くことが大切です。
一般的には、炭火などで焼く場合の焼き時間の目安は1~2分程度です。
また、レバーやハラミなど、赤い色をしたホルモンは、お肉を焼くときと焼き時間の目安は変わりません。
色の変化が分かりにくい場合は、弱火でじっくり焼くとよいでしょう。
焼き上がりの見極め方
食中毒は怖いけれど、焼きすぎてしまうと脂も落ち、硬くなって、せっかくのホルモンをおいしく食べられません。
シマチョウの場合は、皮から水分が抜け、カリッとした状態になり、きれいな焼き目が付いたタイミングが表側の焼き上がりの目安です。
皮がしっかり焼けたときには、脂が柔らかい状態になり、表面に軽く浮いたように見えます。
トングで脂身を挟み、焼き加減を確認しましょう。脂がトロトロになっていたらひっくり返して、今度は脂の付いた裏側を焼きます。
焼き時間の目安は、7対3と覚えておくとよいでしょう。皮面を焼いた時間を7としたら、裏面である脂身のほうは3の時間で焼くのです。
上手に焼けたら、表面はカリっと香ばしく、中はプリっとした食感と脂の甘みを感じられるでしょう。
お家で食べるホルモンのおいしい焼き方
ホルモンはお家でも食べられます。では、お家で焼肉店のようにおいしくホルモンを食べるためには、どのように焼けばよいのでしょうか。
ご家庭でのおいしいホルモンの焼き方を、炭火で焼く場合とフライパンで焼く場合に分けてご紹介します。
炭火で焼くときのポイント
ホルモンをもっともおいしく焼けるのは、網を使って焼く炭火焼きだといわれています。
ホルモンの脂が適度に落ちるため、お口に入れたときに表面のカリっと香ばしい味わいと、ジューシーな脂の甘みとの抜群のハーモニーを味わえます。
炭火で焼くときは、炭の火加減に注意が必要です。
ポイントは、炭の炎が落ち着き、炭の芯の部分が真っ赤に燃えている状態になってから焼き始めることです。この状態を熾火(おきび)といいます。
炎が上がった状態でホルモンを焼いてしまうと、表面だけが焦げてしまうだけでなく、煙の臭いがホルモンに移ってしまう可能性もあります。
炭火で焼くときは炭の状態を確認し、炎が落ち着いてから焼き始めるようにしましょう。
また、ホルモンの脂が落ちて炎が燃え上がった場合は、ホルモンを網の別の場所に移動させ、炎が上がった箇所には網の上から氷を置いて消火します。
ただし、氷を乗せすぎてしまうと炭の温度が下がってしまうため、炎が落ち着いたら氷は取り除くようにしましょう。
フライパンで焼くときのポイント
家庭で食べるときは、フライパンを使って焼くケースがもっとも一般的でしょう。
フライパンで焼く場合も、シマチョウなどの皮があるホルモンは、皮の方を下に向けて焼き始めるようにします。
フライパンに油を敷いて中火~強火で熱し、皮側を下にして、表面がカリっとするまで焼きます。
途中、ホルモンから脂が出てきた場合は、キッチンペーパーで拭き取ると脂っこくなりすぎません。
また、皮目に焼き色が付く前に頻繁にひっくり返してしまうと、皮がパリッと焼き上がりません。
炭火で焼くときと同様に、皮面を焼く時点で7割程度の火を入れるイメージで、表面の脂が溶け始め、半透明になったのを確認してから裏返すようにしましょう。
以下の記事では、プロが教えるおいしいホルモンの焼き方をご紹介しています。
ホルモンのおいしい焼き方はもちろん、簡単でおいしいアレンジレシピもご紹介していますので、ぜひあわせてご一読ください。
関連記事:ホルモンは皮から!フライパン、炭火(BBQ)焼き方を調理のプロが伝授|伊達のくら
おうちでホルモンを食べるなら「伊達のくら」の「大トロホルモン焼き」がおすすめ
実は、ホルモンをおいしく食べるためのもっとも重要なポイントは、下処理であることをご存じですか?
ホルモンには独特の臭みがあるため、汚れや余分な脂などを取り除く下処理が欠かせないのです。しかし、下処理には手間がかかります。
そこでおすすめしたいのが、伊達のくらの「大トロホルモン焼き」です。
ホルモンの甘くてジューシーな脂とプリプリの食感を楽しめるよう、国産牛の小腸であるシマチョウに丁寧に下処理を施し、一般的なホルモンよりも大きいサイズにカットしています。
脂のうまみがジュワっと広がり、とろけるような食感からトロホルモンとも呼ばれるほどのホルモンを、塩、みそ、醤油、スタミナ味の4つの秘伝のタレに漬け込みました。
お家で手軽にホルモンを楽しみたい方にぜひお試しいただきたい一品です。
伊達のくら「大トロホルモン」
まとめ
ホルモンをおいしく食べるためには、内部まで十分に加熱することが大切です。しかし、焼きすぎてしまうと硬くなってしまうため、焼きすぎには注意しなければなりません。
今回ご紹介したように、皮から焼き、しっかり焼き目が付いてからひっくり返すことが、ホルモンのジューシーな脂のうまみとプリプリの食感を楽しむためのポイントです。
ホルモンは炭火で焼くのが一番おいしいといわれていますが、フライパンでも今回ご紹介したようなポイントに気を付ければ、十分、おいしく焼き上げることができます。
ぜひ、下処理が不要で手軽に楽しめる伊達のくらの大トロホルモンを、ご自宅でお試しください。