妊娠中は、お腹の赤ちゃんのためにもさまざまなことに気を付ける必要があります。食事でも、アルコールやカフェインなどは控えなければなりません。また、食中毒の恐れがあるため、生魚や生卵も控えた方がよいといわれています。では、ホルモンは妊娠中に食べても問題ないのでしょうか。
今回は、妊娠中の方がホルモンを食べる際の注意点やトキソプラズマ感染のリスクを抑える方法などについてご説明します。
妊娠中はホルモンを食べてもよい?
妊娠中は、色々なことに不安を感じやすい時期です。そのため「ホルモンを食べても問題ないか」、「お腹の赤ちゃんに影響はないか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。では、ホルモンは妊娠中に食べてもよいのでしょうか。
妊娠中でもホルモンは食べられる!
結論から申し上げますと、ホルモンは妊娠中に食べても問題ありません。ホルモンとは、牛や豚などの内臓のことです。例えば、焼肉で定番のタンやハラミなどもホルモンに含まれます。タンは、舌のことで、ハラミは牛の横隔膜に当たる部位です。そのほか、ミノ、ギアラ、センマイ、ハツ、マルチョウ、シマチョウ、レバーなどがホルモンに該当します。
部位にもよりますが、ホルモンはお肉と比べると脂肪やカロリーが少なく、豊富なたんぱく質を含んでいます。たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚などの主要成分であり、妊娠中期や後期には、通常よりも多くのたんぱく質を摂取することが推奨されています。
また、鉄も妊娠中に積極的に摂りたい栄養素です。妊娠中は赤ちゃんの分の鉄も必要になるため、通常の摂取量に比べ、妊娠初期には+2.5mg、妊娠中期・後期には+15.0mgの鉄分摂取が推奨されています。
実は、レバーやハツなどのホルモンには鉄も豊富に含まれています。つまり、ホルモンは妊婦さんが摂取したい栄養素を含む食材であり、妊娠中にもぜひ食べていただきたい食材なのです。
安全のためにはしっかり加熱が必要
繰り返しになりますが、妊娠中にホルモンを食べても問題はありません。しかし、注意しなければならない点があるのも事実です。それは、ホルモンを食べるときは、中までしっかり火を通すということです。
生肉は食中毒のリスクがあります。同様に、ホルモンも中まで火が通っていない場合、食中毒になる可能性があるのです。生肉や生のホルモンには、O157やカンピロバクターなど、食中毒の原因菌が付着している可能性があります。特に腸管出血性大腸菌であるO157は、腸管内でベロ毒素と呼ばれる強い毒素を作り出し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群など、重い症状を招く恐れがあるものです。
これらの食中毒の原因菌は、熱に弱く、内部までしっかり加熱すれば死滅することが分かっています。そのため、妊娠中にホルモンを食べる際には、中までしっかり加熱することが大切です。しかしながら、O157やカンピロバクターなどによる食中毒は、妊娠中だけに気を付けるべきことではありません。ホルモンを食べる際にしっかり加熱をすることは、妊娠をしているかどうかに限らず、どんな場合でも注意すべきことです。
妊娠中はトキソプラズマ感染に注意が必要
妊娠中にホルモンを食べるときに、特に注意しなければならない感染症がトキソプラズマ症です。トキソプラズマ症とはどのような感染症なのでしょうか。
トキソプラズマとは
トキソプラズマとは、哺乳類や鳥類など、さまざまな動物に寄生する人獣共通寄生虫の1つです。トキソプラズマは猫の排せつ物中に排出されることが分かっており、農作業やガーデニングなどの際に猫の排せつ物に触れることで感染するケースが多いとされています。しかし、牛肉や豚肉、鶏肉などでもトキソプラズマが検出されている例もあるため、お肉やホルモンを食べるときにも注意が必要です。
トキソプラズマに感染した場合のリスク
トキソプラズマに感染した場合でも、健康な人であればほとんど症状は現れません。発症した場合でも、発熱や倦怠感、リンパ節の腫れといった症状が見られる程度です。また、妊娠中にトキソプラズマに感染した場合でも、妊婦さん自身に重い症状が出るケースもほとんどないといえるでしょう。
しかし、妊娠中はトキソプラズマに感染しないよう注意しなければなりません。それは、お腹の赤ちゃんがトキソプラズマに感染すると、先天性トキソプラズマ症を引き起こす可能性があるからです。先天性トキソプラズマ症を発症した場合、目や脳、肝機能などに障害が生じることが分かっており、重症化すると流産や死産につながる恐れもあります。
トキソプラズマ感染予防のためにもホルモンはしっかり加熱を!
妊娠中にトキソプラズマに感染した場合でも、必ず母子感染するわけではありません。また、母子感染をした場合でも赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症を発症する確率はそれほど高くなく、重症化を防ぐ治療薬も開発されています。そのため、過度に心配する必要はありませんが、万が一の事態に備え、ホルモンを食べるときにはしっかり加熱することを忘れないようにしましょう。加熱によってトキソプラズマ症の感染を防ぐことが可能です。
妊娠中にホルモンを食べる場合のその他の注意点
妊娠中にホルモンを食べても、しっかり加熱すれば問題はありません。しかし、ホルモンを食べる際には加熱以外にも注意しなければならない点があります。
では、妊婦さんがホルモンを食べるときにはどのような点に気を付けるべきなのでしょうか。妊娠中にホルモンを安全かつ美味しく食べるためのポイントをご紹介します。
レバーの摂り過ぎには注意
レバーといえば、鉄がたっぷり含まれているイメージがあり、妊娠中に心配な貧血を予防するためにもレバーをたくさん摂った方がよいと思う方が多いかもしれません。
確かに妊娠中は鉄を摂取した方がよいですが、レバーにはビタミンAが豊富に含まれています。ビタミンAは、目や皮膚、粘膜などの形成や機能維持に関わる重要な栄養素です。しかし、妊娠中の過剰摂取は胎児の発育に悪影響を与える恐れがあります。そのため、妊娠中はレバーの摂り過ぎには注意するようにしましょう。
カロリーや脂質の摂り過ぎに注意
妊娠中は体重管理も必要です。ホルモンはヘルシーな食材ですが、食べ過ぎるとカロリーや脂質の摂り過ぎにつながる恐れもあります。ホルモンの部位によってカロリーや脂質の量も違うため、ホルモンを食べるときは食べ過ぎに注意したり、できるだけカロリーや脂質の少ない部位を選ぶとよいでしょう。
味付けを工夫して塩分控えめに
もう1つ、妊婦さんが食事で注意すべき点は塩分の摂り過ぎです。妊娠中は、ホルモンバランスの変化や血流量の増加によって浮腫みやすくなります。塩分を摂りすぎると、身体は塩分濃度を調整しようと体内に水分を多く蓄えようとするため、より浮腫みやすくなってしまうのです。また、妊娠中の塩分の摂り過ぎは、妊娠高血圧症候群につながる恐れもあります。
ホルモンを焼いて食べるときには、レモンや薬味などを用いると塩分を控えることができます。また、もつ鍋を食べるときには、ナトリウムの排泄を促すカリウムをたっぷり含んだキャベツや水菜、ニラなども一緒に摂り、残念ですがスープはできるだけ飲み干さないようにするとよいでしょう。
まとめ
ホルモンには、妊婦さんに必要なたんぱく質や鉄が豊富に含まれており、妊娠中にホルモンを食べても問題はありません。ただし、トキソプラズマ症や食中毒の感染リスクを抑えるため、ホルモンを食べる際にはしっかりと加熱することが大切です。
ホルモンと聞くと、ホルモン焼きを思いつく方が多いかもしれません。しかし、もつ鍋もホルモンを使った代表的な料理です。ホルモン焼きと比べると、野菜も一緒に摂れるため、脂質の摂り過ぎも防げます。伊達のくらの「牛もつ鍋セット」は、ご家庭で簡単に本格的なもつ鍋を味わえる便利なセットです。手軽にもつ鍋を楽しむなら、ジューシーでプリプリとしたもつの旨みを十分に味わえる伊達のくらの牛もつ鍋セットをご賞味ください。
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