ハツとは、心臓のことです。牛・豚・鶏のいずれにもあり、食品成分表ではそれぞれ「心臓」として収載され、備考欄に「別名:はつ」と書かれています。英語のheart(ハート)がなまってハツになったとされ、焼肉・焼き鳥・もつ煮のどれでも使われます。
この記事では、ハツがどこの部位なのか、牛・豚・鶏で栄養がどう違うのかを数値で扱います。同じ心臓でもビタミンB12は牛が鶏の7.1倍、鉄は鶏が牛の1.5倍と、選ぶ動物によって中身が大きく変わります。栄養の数値は文部科学省の食品成分データベースから引いています。
ハツとは?心臓にあたる部位
ハツは心臓を指す呼び名です。心臓は全身に血液を送り続ける筋肉のかたまりで、内臓に分類されますが、実体は筋肉です。そのためレバーのような強いくせがなく、赤身肉に近いあっさりした味になります。
ハツはどこの部位?
心臓は肺にはさまれた胸の中央にあり、四つの部屋に分かれた厚い筋肉でできています。食用にするのは主にこの心筋の部分で、内部の血管や脂肪、血の塊を取り除いてから使います。コリコリとした独特の歯ごたえは、休みなく動き続ける筋肉の密度からくるものです。
「ハツ」という名前の由来
この呼び名は英語のheart(ハート)がなまったものとされています。成分表の側は牛も豚も鶏も項目名を「心臓」で統一し、備考欄でハツという別名を添える書き方をしています。焼き鳥では「ハツ」、もつ煮やホルモン焼きでも「ハツ」と、どの場面でも同じ呼び名が使われる珍しい部位です。
牛・豚・鶏でハツの栄養は大きく違う
同じ心臓でも、動物が変われば中身は変わります。特に差が大きいのはビタミンB12と鉄、そして脂質です。以下は可食部100gあたり、いずれも生の値です。
| 成分(生100g) | 牛ハツ | 豚ハツ | 鶏ハツ |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 128 kcal | 118 kcal | 186 kcal |
| 水分 | 74.8 g | 75.7 g | 69.0 g |
| たんぱく質 | 16.5 g | 16.2 g | 14.5 g |
| 脂質 | 7.6 g | 7.0 g | 15.5 g |
| コレステロール | 110 mg | 110 mg | 160 mg |
| 鉄 | 3.3 mg | 3.5 mg | 5.1 mg |
| 亜鉛 | 2.1 mg | 1.7 mg | 2.3 mg |
| ビタミンB12 | 12.0 µg | 2.5 µg | 1.7 µg |
出典:文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)/うし[副生物]心臓・生、ぶた[副生物]心臓・生、にわとり[副品目]心臓・生。2026年8月13日参照。
ビタミンB12は牛が鶏の7.1倍
いちばん開くのがビタミンB12です。牛ハツ12.0µgに対し鶏ハツは1.7µgで、7.1倍の差があります。豚ハツは2.5µgで、牛の約2割にとどまります。B12は赤血球をつくるのに関わる栄養素で、動物性の食品にしか含まれません。
鉄は鶏がいちばん多い
逆に鉄は鶏が最も多く、鶏ハツ5.1mgは牛ハツ3.3mgの1.5倍です。豚ハツは3.5mgで牛とほぼ同じでした。「レバーほどではないが鉄を摂りたい」というときに、鶏ハツは選択肢になります。
鶏ハツだけ脂質が2倍
脂質は牛7.6g・豚7.0gに対し、鶏ハツだけ15.5gで牛の2.0倍あります。エネルギーも186kcalと他の二つより高めです。焼き鳥のハツがしっとりして感じられるのは、この脂の差によるものです。コレステロールも160mgと、牛豚の110mgより高くなります。
数値を読むときの注意:ここで比べた3つはいずれも生の値です。焼いたりゆでたりすると水分が抜けるため、同じ100gあたりの数値は変わります。また心臓は下処理で血の塊や脂肪を取り除くので、実際に食べる部分の値は表と多少ずれます。
ホルモンの中でのハツの位置
牛の内臓のなかでハツがどのあたりに来るのかを、脂質の少ない順に並べます。ハツは低脂質・高たんぱくの側にいます。
| 部位(呼び名) | 状態 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 鉄 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第三胃(センマイ) | 生 | 57 kcal | 11.7 g | 1.3 g | 6.8 mg |
| 肝臓(レバー) | 生 | 119 kcal | 19.6 g | 3.7 g | 4.0 mg |
| 心臓(ハツ) | 生 | 128 kcal | 16.5 g | 7.6 g | 3.3 mg |
| 第一胃(ミノ) | ゆで | 166 kcal | 24.5 g | 8.4 g | 0.7 mg |
| 大腸(シマチョウ) | 生 | 150 kcal | 9.3 g | 13.0 g | 0.8 mg |
| 小腸(マルチョウ) | 生 | 268 kcal | 9.9 g | 26.1 g | 1.2 mg |
| 第四胃(ギアラ) | ゆで | 308 kcal | 11.1 g | 30.0 g | 1.8 mg |
※胃の部位(ミノ・ギアラ)は成分表に「ゆで」の値しかないため、状態をそろえられません。生とゆでを直接は比べないでください。
腸の部位が脂質13.0〜26.1gなのに対し、ハツは7.6gです。たんぱく質は16.5gで腸の部位(9.3〜9.9g)を上回ります。「ホルモンは脂っこい」という印象があてはまらない部位のひとつです。部位ごとのカロリーはホルモンのカロリーを19部位で比較した記事にまとめています。
ハツの下処理と焼き方
心臓は血液が通る器官なので、血の塊を抜くことが下処理の中心になります。ここを丁寧にやるかどうかで、においがまったく変わります。
- 切り開いて中の血の塊を洗い流す。内側の筋や白い管も取り除きます
- 水または牛乳に20〜30分ほどさらす。水は途中で替えます
- 水気をしっかり拭く。濡れたまま焼くと表面が焼き固まりません
- 強火で短時間。火を入れすぎると水分が抜けて硬くなります
ハツはコリコリした食感が持ち味なので、焼きすぎないことが最大のコツです。中心部まで十分に加熱してから食べてください。牛・豚・鶏のいずれも、生や半生では食べられません。
焼き加減の考え方はホルモンのおいしい焼き方を解説した記事で扱っています。
妊娠中にハツを食べる場合
ハツを検索する方の多くが気にされるのが、妊娠中に食べてよいかという点です。ハツは十分に加熱すれば食べられる部位ですが、内臓全般に共通する注意点があります。
詳しくは妊娠中のホルモンについて解説した記事と、妊娠中の焼肉について解説した記事で扱っています。判断に迷う場合は、かかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。
伊達のくらのホルモンについて
伊達のくらではハツの取り扱いはありません。扱っているのは大腸(シマチョウ)・小腸・第一胃(ミノ)・第四胃(アカセンマイ)と、豚トロ・豚ハラミです。
この記事の比較表に出てくる部位のうち、ミノとアカセンマイ、シマチョウはホルモン5種 食べ比べセットで食べ比べられます。味付けなしの素材のまま、部位別の個別真空パックで届きます。ハツは含まれていませんので、その点はご了承ください。
ハツについてよくある質問
- ハツはどこの部位ですか?
- 心臓のことです。食品成分表では牛・豚・鶏のいずれも項目名は「心臓」で、備考欄に「別名:はつ」と記されています。内臓に分類されますが実体は筋肉なので、赤身肉に近いあっさりした味です。
- ハツという名前の由来は何ですか?
- 英語のheart(ハート)が転じてハツになったとされます。焼肉でも焼き鳥でも同じ呼び名が使われます。
- 牛ハツと鶏ハツはどちらが栄養がありますか?
- 栄養素によって逆になります。ビタミンB12は牛ハツ12.0µgに対し鶏ハツ1.7µgで牛が7.1倍、鉄は鶏ハツ5.1mgに対し牛ハツ3.3mgで鶏が1.5倍です。脂質は鶏ハツ15.5gが牛ハツ7.6gの2.0倍あります。
- ハツのカロリーはどのくらいですか?
- 生100gあたり、牛ハツ128kcal、豚ハツ118kcal、鶏ハツ186kcalです。鶏ハツだけ高いのは脂質が15.5gと他の2つの約2倍あるためです。
- ハツはホルモンの中では脂っこいほうですか?
- 低いほうです。牛ハツの脂質は生100gあたり7.6gで、大腸(シマチョウ)13.0g、小腸(マルチョウ)26.1gより低い値です。たんぱく質は16.5gで腸の部位より多くなります。
- ハツの下処理はどうすればよいですか?
- 切り開いて中の血の塊を洗い流し、筋や白い管を取り除きます。そのあと水または牛乳に20〜30分さらし、水気をしっかり拭いてから焼いてください。
- ハツを生で食べられますか?
- 食べられません。牛・豚・鶏のいずれも、中心部まで十分に加熱してから食べてください。
- 伊達のくらでハツは買えますか?
- 取り扱いはありません。ホルモンは大腸(シマチョウ)・小腸・第一胃(ミノ)・第四胃(アカセンマイ)と、豚トロ・豚ハラミを扱っています。
まとめ
ハツは心臓にあたる部位です。内臓に分類されますが実体は筋肉なので、レバーのようなくせはなく、コリコリとした歯ごたえが持ち味になります。牛・豚・鶏のどれにもあり、成分表ではいずれも「心臓」として収載されています。
同じハツでも中身は動物によって違います。ビタミンB12は牛が鶏の7.1倍、鉄は鶏が牛の1.5倍、脂質は鶏が牛の2.0倍。何を摂りたいかで選ぶ動物が変わる、というのがこの部位の面白いところです。
下処理は血の塊を抜くことが中心で、ここを丁寧にやればにおいはほとんど気になりません。焼くときは強火で短時間。火を入れすぎるとコリコリした食感が失われます。ただし中心部までは必ず加熱してください。
参考にした資料
文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)/うし[副生物]心臓・生、肝臓・生、第一胃・ゆで、第三胃・生、第四胃・ゆで、小腸・生、大腸・生、ぶた[副生物]心臓・生、にわとり[副品目]心臓・生(2026年8月13日参照)
※本記事は食品の一般的な情報を提供するものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。妊娠中の方や健康状態に不安がある方は、医師・管理栄養士にご相談ください。
