スーパーで「鍋用ホルモン」を見つけて、焼肉用と何が違うのか迷った方は多いと思います。鍋に使うホルモンは小腸が基本で、焼肉用との違いは味が付いているかどうかとカットの大きさの2つです。部位そのものが別物というわけではありません。
ここではホルモン鍋ともつ鍋の関係、鍋に向く部位、焼肉用との使い分け、一人前の量までをまとめました。脂質とエネルギーの数値は文部科学省の食品成分データベースから引いています。
ホルモン鍋ともつ鍋を分ける明確な線はない
ホルモン鍋ともつ鍋の違いを調べると、答えが店ごとにばらついて見えるはずです。それは定義が定まっていないからで、どちらも牛や豚の内臓を主役にした鍋を指し、同じものを別の名前で呼んでいる場合がほとんどです。
「もつ鍋」は福岡・博多で広まった呼び方で、もつ・キャベツ・ニラ・にんにく・唐辛子を使う構成が定番になっています。「ホルモン鍋」は地域や店による呼び方で、味噌味やキムチ味など博多の型から外れる組み立ても含みます。分かれるのは料理の系統ではなく、使う部位と味の付け方です。
もつとホルモンという言葉そのものの違いは、もつとホルモンの違いで扱っています。
鍋に使うホルモンは小腸が基本
鍋用として売られているホルモンは、多くが牛の小腸です。マルチョウ、コテッチャン、ホソとも呼ばれます。理由は脂の付き方にあります。
小腸は脂がスープに溶ける
小腸は内側に厚い脂が付いた部位で、煮込むとその脂がスープに溶け出します。もつ鍋のスープが白く濁って甘みが出るのはこのためで、具材でありながら出汁を兼ねています。噛んだときに脂がじゅわっと出る食感も、鍋で小腸が選ばれる理由です。
マルチョウがどこの部位かはマルチョウとはにまとめています。
シマチョウは食感が残る
シマチョウ(大腸)を鍋に入れる店もあります。小腸より脂が少なく、煮込んでも身が締まったまま残るので、噛みごたえを求めるなら向いています。ただしスープに出る脂は小腸より少なくなります。小腸とシマチョウを半々にすると、出汁と食感の両方が取れます。
シマチョウの詳細はシマチョウとはで扱っています。
胃の3部位は煮込み時間が長い
ミノ(第一胃)、ハチノス(第二胃)、アカセンマイ(第四胃)も鍋に使えますが、腸より繊維が固く、柔らかくするには長く煮込む必要があります。短時間で仕上げたい家庭の鍋では、腸のほうが扱いやすい部位です。
胃の3部位は脂質が3.6倍ちがう
同じ「胃」でも、部位によって脂の量はまったく違います。文部科学省の食品成分データベース(八訂)から、可食部100gあたりの数値を引きました。腸は生、胃はゆでで収載されており、収載形が違うものは直接比べられないため、表を2つに分けています。
| 腸の部位(生) | エネルギー | 脂質 |
|---|---|---|
| マルチョウ(小腸) | 268kcal | 26.1g |
| シマチョウ(大腸) | 150kcal | 13.0g |
| テッポウ(直腸) | 106kcal | 7.0g |
| 胃の部位(ゆで) | エネルギー | 脂質 |
|---|---|---|
| アカセンマイ(第四胃) | 308kcal | 30.0g |
| ハチノス(第二胃) | 186kcal | 15.7g |
| ミノ(第一胃) | 166kcal | 8.4g |
胃の3部位はすべて同じ「ゆで」で収載されているので比較できます。アカセンマイの脂質30.0gはミノの8.4gの3.6倍で、同じ胃とは思えない差があります。あっさり仕上げたいならミノ、こってりさせたいならアカセンマイという選び分けになります。
なお第三胃のセンマイは生で57kcal・脂質1.3gと最も軽い部位ですが、刺しで出されることが多く、鍋にはあまり使われません。ホルモン全体のカロリーはホルモンの部位別カロリーで一覧にしています。
焼肉用と鍋用のホルモンは2つ違う
店頭で「焼肉用」「鍋用」と書き分けられていても、部位そのものは同じことがあります。実際に違うのは次の2点です。
味が付いているかどうか
焼肉用のホルモンは、タレに漬け込んだ味付き商品が主流です。解凍してそのまま焼けるようにするためで、伊達のくらの大トロホルモンも塩・味噌・醤油・スタミナの4種のタレで味を付けた状態でお届けしています。
一方、鍋用は味を付けません。鍋のスープで味が決まるので、下味があるとスープの設計と喧嘩するためです。伊達のくらのもつ鍋セットに入っている国産牛小腸も、味付けなしの状態で入っています。
カットの大きさ
焼肉用は網やフライパンで焼くため、火が通りやすい小さめのカットになります。鍋用は煮込むうちに縮むことを見込んで、大きめに切ります。伊達のくらのもつ鍋セットの小腸は、通常の約1.5〜2倍の大粒カットにしています。
鍋用を焼くのは問題ない
味の付いていない鍋用ホルモンは、そのまま焼いても食べられます。塩コショウや焼肉のタレを後から付ければ焼肉になります。むしろ味付けがないぶん、好みの味に振れる利点があります。
逆に、味付き焼肉用を鍋に入れると、タレの味がスープに移ります。醤油味やスタミナ味は炒め物や鍋料理にも使える設計にしていますが、九州醤油や味噌といったスープと重ねると味が濃くなりすぎることがあります。味付き商品を鍋に使う場合は、スープを薄めに作るか、味付けなしの商品を選んでください。
焼肉用として焼く場合の火加減はホルモンの美味しい焼き方にまとめています。
ホルモン鍋の一人前は100〜150g
鍋に入れるホルモンの量は、一人前100〜150gが目安です。伊達のくらの国産牛もつ鍋セットは国産牛小腸300gで2〜3人前としており、この数字がそのまま目安になります。
ホルモンは煮込むと脂が抜けてかさが減るので、生の状態で見ると少なく感じます。150gあれば一人でも物足りなさはありません。野菜を多めに入れる場合は100gでも成立します。
下処理済みの商品を使えば、袋から出してそのまま鍋に入れられます。スーパーの生ホルモンから作る場合の下ゆでの手順はもつの下処理にまとめています。
ホルモン鍋の具材と煮込み時間
具材はもつ鍋と同じ組み立てで問題ありません。キャベツ・ニラ・にんにく・唐辛子が定番で、豆腐・ごぼう・長ねぎ・もやしを足すと厚みが出ます。それぞれの分量と入れる順番はもつ鍋の具材で詳しく扱っています。
煮込み時間は、下処理済みのホルモンを使う場合で20分ほどです。最初にホルモンとにんにく・唐辛子を入れ、途中でキャベツと豆腐、最後にニラともやしを載せます。ニラは煮込むと香りが飛ぶので、火を止める直前に入れてください。
しめはちゃんぽん麺が定番です。煮込んでも伸びにくく、脂の溶けたスープに負けません。もつ煮込みとの違いを知りたい方はもつ煮込みの部位もあわせてご覧ください。
ホルモン鍋についてよくある質問
- ホルモン鍋ともつ鍋の違いは何ですか?
- 明確な線はなく、どちらも牛や豚の内臓を主役にした鍋を指します。もつ鍋は福岡・博多で広まった呼び方で、もつ・キャベツ・ニラ・にんにく・唐辛子の構成が定番です。ホルモン鍋は地域や店による呼び方で、味噌味やキムチ味など博多の型から外れるものも含みます。
- ホルモン鍋にはどの部位を使いますか?
- 牛の小腸が基本です。マルチョウ、コテッチャン、ホソとも呼ばれます。内側に厚い脂が付いていて、煮込むと脂がスープに溶けて甘みが出ます。噛みごたえを足したい場合はシマチョウ(大腸)を混ぜます。
- 焼肉用のホルモンと鍋用のホルモンは違いますか?
- 部位は同じことが多く、違うのは味が付いているかどうかとカットの大きさの2つです。焼肉用はタレに漬け込んだ味付きで小さめのカット、鍋用は味付けなしで大きめのカットが一般的です。
- 鍋用のホルモンを焼いてもいいですか?
- 問題ありません。味が付いていないので、塩コショウや焼肉のタレを後から付ければ焼肉になります。逆に味付きの焼肉用を鍋に入れると、タレの味がスープに移って濃くなることがあります。
- ホルモン鍋の一人前は何グラムですか?
- 100〜150gが目安です。伊達のくらの国産牛もつ鍋セットは国産牛小腸300gで2〜3人前としています。煮込むと脂が抜けてかさが減るため、生の状態では少なく見えます。
- ホルモン鍋のホルモンで脂が少ないのはどれですか?
- 胃の部位ならミノ(第一胃)です。文部科学省の食品成分データベース(八訂)では、ゆでた可食部100gあたりの脂質がミノ8.4g、ハチノス15.7g、アカセンマイ30.0gで、アカセンマイはミノの3.6倍あります。腸ならシマチョウ(大腸)が生で13.0gと、小腸の26.1gより軽くなります。
- ホルモン鍋は何分煮込めばいいですか?
- 下処理済みのホルモンを使う場合で20分ほどです。スーパーの生ホルモンから作る場合は、先に下ゆでをしてから鍋に入れてください。
- ホルモン鍋のしめは何がいいですか?
- ちゃんぽん麺が定番です。コシが強く、煮込んでも伸びにくいためです。軽く仕上げたい場合はごはんで雑炊にする方法もあります。
まとめ
ホルモン鍋ともつ鍋は同じものを別の名前で呼んでいることがほとんどで、違いは呼び方ではなく使う部位と味の付け方にあります。鍋の主役は牛の小腸で、脂がスープに溶けて甘みを出します。
焼肉用と鍋用の差は、味が付いているかどうかとカットの大きさの2つです。味付けのない鍋用は焼いても食べられますが、味付き商品を鍋に入れるとスープの味が変わります。量は一人前100〜150gを目安にしてください。
