焼き鳥店で、「ハツ」は人気のメニューです。ハツと聞けば、焼き鳥をイメージする人も多いでしょう。しかし、実は、焼肉店でもハツは隠れた人気メニューです。
普段からハツを食べているハツ好きの方であれば、ハツがどの部位にあたるのかはすでにご存知でしょう。しかし、ハツをあまり食べたことがない方などは、ハツの部位や味の特徴、食感などが分からないかもしれません。
そこで今回は、ハツが初めての人でもハツの魅力が理解できるよう、ハツの部位や味、食感の特徴、栄養素、美味しい食べ方まで、詳しく解説します。
ハツとはどこの部位?
では早速、ハツの部位や呼び名の由来などからご紹介しましょう。
ハツはホルモン
ハツは、一般的な赤身肉などの「正肉」ではなく、ホルモン(内臓肉)の一種です。牛や豚、鶏の心臓にあたる部位を指します。焼き鳥店では、鶏の心臓を焼いたメニューがハツであり、焼肉店では牛や豚の心臓をハツとして提供しています。
ハツの名前の由来は?
ハツは、英語で心臓を意味する「Heart」やその複数形「Hearts」がなまって「ハツ」と呼ばれるようになったといわれています。鶏はもちろん、牛や豚も、心臓は一頭につき一つしかなく、それほど大きな部位ではありません。したがって、ハツは牛一頭からは約2kg、豚一頭からは200~300g、鶏一羽からは約10~15gしか取れない希少部位です。
ハツの別名
ハツは、地域やお店によってさまざまな別名があります。例えば、関西地方の焼き鳥店や焼肉店ではハツを「ココロ」と呼ぶケースが見られます。また、中には鶏のハツをココロと呼び、牛や豚のハツを「シンゾウ」と呼んで区別するケースもあるようです。これは、精肉業界ではハツを「豚シンゾウ」や「牛シンゾウ」と表記して扱うことが影響していると考えられます。
そのほか、ドイツ語で心臓を意味する「Herz」から「ヘルツ」、弓矢の先に似た形から「ヤサキ」と呼ぶ地域もあります。ただし、ヤサキは、牛のハツを指すケースが多いようです。
ハツはどんな味?
ハツは心臓にあたる部位であり、ホルモンであるとご説明してきましたが、食べるとどんな味がするのでしょうか。ハツの味や食感についてご紹介します。
ハツの味の特徴
ハツはホルモンですが、しっかり下処理をするとクセや臭みも抑えられます。赤身肉に近い味わいが特徴です。また、ホルモンというと脂が多いイメージがありますが、鶏のハツは比較的脂が多いものの豚や牛のハツは脂肪分が少なく、あっさりとしています。
ハツ特有の食感とは
心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしているため、全体が筋肉で構成されています。きめ細やかな繊維が並んでいるため噛み切りやすく、プリプリ、サクサクとした弾力のある食感が特徴的です。
ハツとハツモトの違い
ハツモトとは、心臓から出ている大動脈(血管)の一部の呼び名です。ハツ(心臓)と結合している部分であることからハツモトと呼ばれます。白っぽい見た目をしており、脂は少なく、コリコリとした食感が特徴的な部位です。そのため、コリコリと呼ばれる場合もあります。
ハツとアブシンの違い
アブシンとは、アブラが付いたシンゾウを略した言葉です。アブシンは、濃い赤色をした部分と脂肪の白い部分がくっきりと分かれており、赤と白のツートンカラーの見た目をしています。
本来、ハツは脂が少ない部位ですが、一部、ふちに脂身が付いている部分があり、脂身を残したまま切り出した部位をアブシンと言います。アブシンは、ハツのコリコリとした独特の歯触りと脂のジューシーな甘みを同時に堪能できる部位です。さらに、アブシンの脂はあっさりとしているため、嫌な脂っこさを感じず、濃厚な甘みとコクがお口の中に広がります。
アブシンは牛の脂つきのハツを指すケースがほとんどですが、中には豚のアブシンを提供しているお店も見られます。
ハツとレバーの違い
ホルモンは、白っぽい色をしているものと赤い色をしているものに分けられます。赤いホルモンの代表的な部位がレバーです。
レバーは肝臓にあたる部位で、ねっとりとした滑らかな食感と濃厚な味わいが特徴的ですが、鉄分を多く含み、独特な風味があります。また、加熱しすぎると水分が抜けてパサついた食感になるため、レバーに苦手意識を持っている方も少なくありません。
ハツは、ホルモンの中でもクセが少なく、食感もプリプリとしており、レバーとは味も食感も異なります。これは、ハツは筋肉の塊であるのに対し、レバーは筋肉の繊維がほとんどないためです。
ハツに似ている部位はある?
ハツとレバーは、味や食感に違いがありますが、ホルモンにはハツに似ている部位もあります。
食感が似ている部位
鶏の場合は、もっともハツに似ている食感をもつのが砂肝です。鳥類の胃にあたる消化器官の一つで、砂嚢と呼ばれる部位を砂肝と言います。鳥は歯がないために、食べ物を噛むことができません。そのため、砂嚢(砂肝)で食べ物をすりつぶして消化をします。
ハツと同様、脂肪が少なくほとんどが筋肉で構成されているため、砂肝のコリコリとした食感は非常にハツに似ています。また、クセも少なく、味わいもあっさりとしています。
そのほか、牛や豚の腎臓にあたるマメも、サクサクとしたハツに似た歯切れのよい食感です。ただし、マメには独特のクセがあり、味はハツとは似ていません。
味が似ている部位
ハツは、赤身の肉に似た味をしています。豚や牛の場合は、脂が少ないヒレやモモなど、肉本来の旨味を味わえる部位がハツに似た味わいです。
牛・豚・鶏のハツの食感や見た目、栄養素の違い
ハツは、心臓にあたる部位ですが、動物の種類によって食感や見た目、栄養素なども若干変わってきます。ここでは、牛、豚、鶏のハツの特徴についてご紹介します。
牛のハツの特徴と栄養素

牛は、豚や鶏に比べて体が大きいため、ハツ(心臓)も大きくなります。濃い赤色をしており、肉厚で、筋肉の繊維がぎっしりとつまっているため、噛むとしっかりとした歯ごたえを感じます。脂が少なく、あっさりとした味わいは赤身の肉を食べているようです。
ただし、アブシンのように脂がのった部分では、脂の甘みと肉の旨味の絶妙なバランスを楽しめます。
牛のハツは、レバーに匹敵するほどの鉄分やビタミンB群を豊富に含んでいながら、脂肪が少ない分、カロリーも控えめです。特に、赤血球の生成を助け、神経の働きを保つビタミンB12の含有量が非常に高い点が特徴的です。また、タンパク質も豊富に含んでいます。
<牛のハツに含まれる主な栄養素>
|
成分名 |
100gあたりの値 |
|
エネルギー |
128kcal |
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タンパク質 |
16.5g |
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脂質 |
7.6g |
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炭水化物 |
0.1g |
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カリウム |
260mg |
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マグネシウム |
23mg |
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鉄 |
3.3mg |
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亜鉛 |
2.1mg |
|
ビタミンA(レチノール) |
9μg |
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ビタミンB1 |
0.42mg |
|
ビタミンB2 |
0.90mg |
|
ナイアシン |
5.8mg |
|
ビタミンB6 |
0.29mg |
|
ビタミンB12 |
12.0μg |
|
葉酸 |
16μg |
|
パントテン酸 |
2.16mg |
出典元:文部科学省「食品成分データベース」
豚のハツの特徴と栄養素

豚のハツは、牛よりも小さく、ややピンクがかった色合いが特徴です。牛のハツは、牛肉の赤身に似た色合いをしているのに対し、豚のハツは豚肉の赤身に似た色合いをしています。
食感は牛より少し柔らかく、サクッと噛み切れる歯触りの良さを楽しめます。牛に比べると少しクセがあるものの、レバーほど独特の風味があるわけではありません。また、牛に比べると厚みが薄くなるため、軽い感覚で食べられます。
豚のハツも牛のハツと同様、鉄やビタミンB群を豊富に含有しています。
<豚のハツに含まれる主な栄養素>
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成分名 |
100gあたりの値 |
|
エネルギー |
118kcal |
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タンパク質 |
16.2g |
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脂質 |
7.0g |
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炭水化物 |
0.1g |
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カリウム |
270mg |
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マグネシウム |
17mg |
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鉄 |
3.5mg |
|
亜鉛 |
1.7mg |
|
ビタミンA(レチノール) |
9μg |
|
ビタミンB1 |
0.38mg |
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ビタミンB2 |
0.95mg |
|
ナイアシン |
6.0mg |
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ビタミンB6 |
0.32mg |
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ビタミンB12 |
2.5μg |
|
葉酸 |
5μg |
|
パントテン酸 |
2.70mg |
出典元:文部科学省「食品成分データベース」
鶏のハツの特徴と栄養素

鶏のハツは、牛や豚に比べるとサイズが小さく、1cm~2cm程度の大きさです。赤身が強く、ぷっくりとした円錐型をしています。イチゴやドングリのような形と表現されることもあります。上の部分には脂肪がついており、ドングリの帽子のようにも見えます。
脂肪が多い分、牛や豚に比べると、ジューシーでコクのある濃厚な味わいが特徴です。また、小さい臓器に筋肉が密集しているため、噛むとプリプリッとした弾力があります。
見た目は小さく、かわいらしいものの、鉄分やビタミンA(レチノール)、葉酸は牛や豚よりも多く含まれています。ただし、ジュシーな味わいの分、脂肪も多いため、カロリーも牛や豚より高めになっている点には注意しなければなりません。
<鶏のハツに含まれる主な栄養素>
|
成分名 |
100gあたりの値 |
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エネルギー |
186kcal |
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タンパク質 |
14.5g |
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脂質 |
15.5g |
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炭水化物 |
tr |
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カリウム |
240mg |
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マグネシウム |
15mg |
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鉄 |
5.1mg |
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亜鉛 |
2.3mg |
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ビタミンA(レチノール) |
700μg |
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ビタミンB1 |
0.22mg |
|
ビタミンB2 |
1.10mg |
|
ナイアシン |
6.0mg |
|
ビタミンB6 |
0.21mg |
|
ビタミンB12 |
1.7μg |
|
葉酸 |
43μg |
|
パントテン酸 |
4.41mg |
出典元:文部科学省「食品成分データベース」
ハツの美味しい食べ方とは?
ハツを美味しく食べるためにはいくつかのポイントがあります。ハツの美味しい楽しみ方をご紹介します。
下処理はしっかりと
ハツはクセが少ない部位ではあるものの、ホルモンに該当するため、しっかりと下処理をすると臭みをより抑えることができ、美味しく食べられます。
塊として売られているハツの場合は、水でしっかり洗うことが大切です。これは、牛に限らず、豚や鶏にも必要な工程です。ハツの内部には血液が残っていることが多く、この血液は臭みの元となります。そのため、まずは水洗いをした後、ハツを縦半分に切り、内部に残っている血液や筋などを取り除きます。その後、塩水の中でもみ洗いをし、水にさらし、調理時にはキッチンペーパーでしっかりと水気をふき取ることが大切です。生肉を扱った後は、手や調理器具を十分に洗浄し、ほかの食品への二次汚染を防ぎましょう。
また、牛のハツなどは、カットされて売られているケースもあります。カット済みのハツも塩水でもみ洗いをすると、臭みを抑えられます。
鶏のハツは焼き鳥で
鶏のハツは、串に刺して焼き鳥にして食べると美味しく食べられます。魚焼きグリルがない場合には、串に刺した後にフライパンで表面をこんがり焼きつけたら酒を入れてふたをし、蒸し焼きにすると、中まで火が通りやすくなり、よりプリプリとした食感を楽しめます。塩コショウでシンプルに味付けをしても、焼き鳥のタレで味付けをしてもよいでしょう。
牛や豚のハツは焼き肉で
牛や豚のハツは、焼き肉として、両面を炙って、塩コショウや焼き肉のタレで食べると、素材本来の味を楽しめます。ただし、焼き過ぎるとパサついてしまうため、焼き過ぎには注意が必要です。
また、牛のハツは赤身肉に近いため、少し厚めにカットしてステーキのように食べても美味しいでしょう。牛に比べるとあっさりしている豚のハツは、ニンニクと炒めても、ショウガや砂糖で甘辛く煮ても美味しく食べられます。
ハツは生でも食べられる?
2012年、食品衛生法に基づき、牛のレバーを生食用として販売または提供することが禁止されました。また、2015年には、豚肉や豚のホルモンを生食用として販売・提供することが禁じられています。これは牛のレバーや豚肉、豚のホルモンを生で食べると、食中毒を起こすリスクがあるためです。
牛のハツについては、法律で生食が禁止されているわけではないものの、生で食べると食中毒のリスクがないとは言い切れません。最近では、内部まで適切に火を通した低温調理済みのハツ刺しを提供しているケースも増えており、ハツ刺しを食べる際には生ではなく低温調理済みのものを選んだほうが安心でしょう。
参照元:厚生労働省「牛レバーを生食するのは、やめましょう(「レバ刺し」等)」、「豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう」
まとめ
ハツとは、牛や豚、鶏の心臓にあたる部位です。ココロやシンゾウ、ヘルツ、ヤサキなどと呼ばれることもあります。
ハツは、ホルモンの中でもクセが少ない部位であり、プリプリとした特有の食感に魅了される人も少なくありません。また、栄養素に違いはあるものの、牛、豚、鶏のハツには全て、鉄分が豊富に含まれている点も魅力的です。
ハツはクセが少ないといわれているものの、しっかり下処理をしないと臭みを感じる可能性があります。ハツを食べるときには、水でしっかりと血を洗い流すことをおすすめします。また、焼き過ぎるとパサつくため、焼き加減にも注意することが大切です。
